世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年12月26日

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 11月23日付の英エコノミスト誌は、ムガベ辞任の歓喜は冷め、今や多くの国民は新大統領が本当にジンバブエの事態を好転させられるのか疑い始めていると解説しています。記事の主要点は次の通りです。

(iStock.com/NatanaelGinting/Jay_Zynism)

 ムナンガグワはムガベの元取り巻きで野党の処罰や選挙への介入で悪名高いが、「新たな民主主義」を促進する、「経済を成長させ、平和を達成し、雇用を生み出す」と国民に約束した。

 この約束が実現できるかどうかは二つのことに依存する。第一は海外からの支援を獲得できるかどうかである。財政赤字はGDPの12~15%に及び、インフレは25~50%になっている。外貨準備は数カ月で枯渇する。インフラは崩壊している。第二は、海外の支援を得るためには、政府財政を抑え、公正な選挙ができるようにする必要があるが、政治改革を実行できるかどうかである。

 懐疑的な人々は、2009年統一政府が結成された時に同じことが言われたことを思い出している。ムガベは改革を実行しなかった。

 海外投資家の信頼を得るためにムガベが立法化した株式黒人保有化法(ジンバブエの外資企業にその株式の過半数をジンバブエ黒人に譲渡することを義務付ける法律)を撤廃する必要がある。新大統領は大農場所有者との問題を落着させたいと嘗て述べていた(白人が保有していた4000以上の大農場が17年余に亘り強制収用されてきたが、法的所有者は白人のままになっている)。

 政治的改革はもっと難しい。要するに与党の内部対立が問題である。多くの者は公正な選挙は行われないだろうと思っている。ムナンガグワ大統領の任期は憲法によりムガベの5年の任期が終わるまで、つまり来年8月前までとなっている。しかし同人は議会の両院で3分の2の多数を牛耳っているので任期は2、3年延長されることになるのではないかとの話が既に出ている。野党の主要な指導者チャンギライはこれに強く反対している。

 野党は情けないほど弱い。指導者のチャンギライは元気旺盛になっているが、ガンを患っている他、2009~13年の統一政府参加により信頼を失っており、党は内部分裂を抱え後継者も決まっていない。「クロコダイル(鰐)」とのニックネームを持つムナンガグワは野党の老練政治家を抱き込み野党の力を削ごうとするかもしれない。チャンギライに重要ポストを差し出せば同人は受けるだろうと見られている。

 欧米等は難しい対応を迫られる。一方で経済、政治改革を進めるようムナンガグワを支援したいとの考えもある。しかし他方、ムガベと同様に権力を掌握し支援を得た後は改革を行わないのではないかとの懸念もある。野党関係者は特に選挙について国際社会がもっと支援してくれるよう求めている。

 ムナンガグワが経済を立て直し、この転換期に新たな調和ムードを打ち立てることができれば、同氏は国民から尊敬を受けることができるかもしれない。

出典:Economist ‘Will Zimbabwe’s new president make things better?’ (November 23, 2017)
https://www.economist.com/news/middle-east-and-africa/21731646-emmerson-mnangagwa-ruthless-man-he-replaces-more-grounded

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