2024年4月24日(水)

古希バックパッカー海外放浪記

2017年12月24日

叔母は祖母似の飛んでる女性

 父親の妹でリカさんの叔母にあたる女性は祖母譲りの超ド派手美人。九州のデパートを経営する旧家に嫁いだが、嫁の枠に収まりきらない。リカさんが中学生の時に実家に遊びに来た叔母が真っ赤なスポーツカーで乗り付けた。よく見たらランボルギーニ・カウンタックだったので度肝を抜かれたという。

 身に着けるものもすべて有名ブランド品で、嫁ぎ先の一族が経営するデパートの外商部に指示して日本では未発売の欧米の最先端のブランド品を取り寄せては自慢げに着飾っていた。

 結局旧家の嫁には収まりきらず、若い中華料理のコックと出奔。バブル時代に借金して大阪の高級ホテルで中華レストランを始めるが失敗。最後は町金からの借金を踏み倒して、ロサンジェルスに二人で逃避行。ロサンジェルスのレストランで二人して働き始めるが、貧乏生活にすぐに嫌気がさして米国人の金持ちの弁護士の愛人となった。

 その後の紆余曲折は割愛するが68歳になって里心がついたのか今年三十何年ぶりに帰国するという。

少年僧侶向けに講話するダライラマ14世

下の叔父の嫁さんはメキシコ人

 リカさんの父親の下の弟は大学卒業後米国に一年遊学。帰国時に成田から「嫁さんを連れて帰ってきたのでよろしく」と突然の電話連絡があり家族が仰天。長崎に連れ帰った嫁さんはメキシコ系美人。

 この嫁さんはエキゾチックな美貌が評判となりTVのCMやら雑誌のモデルやら引っ張りだこ。地元では知らない人がいないほどの有名人となった。ところが3年後のある日、嫁さんは何も言わずに突然姿を消してしまったという。突然の出奔に家族一同大騒ぎとなった。

 実は嫁さんは芸者上がりの祖母だけには「メキシコの実家に帰ります。お世話になりました」と丁重に挨拶していた。彼女が祖母に打ち明けたのは「カレの女遊びと浮気に我慢ができなくなった」という事情。祖母は彼女の心情を察して「私のバカ息子のことは忘れて、気持ちを切り替えて故郷で幸せになってね。」とお金の包みをメキシコ嫁の手に握らせた。

リカさんの母親は糟糠の妻

 このように特異な家族のなかでリカさんの母親は、放蕩系の一族の振る舞いに対して内心批判的であったが胸の内に秘めて公然と非難することはなかった。母親は一族への反発心からリカさんを普通のキチンとしたお嬢様に育てようと腐心。外に出して恥ずかしくないように躾は厳しかったという。

 リカさんの父親の女性問題でも表立って難詰することは一度もなかったが、さすがに一家が零落して妾の家に居候したときにはリカさんに弱音を漏らした。

ダライラマの講話会にはレー郊外の会場に仏教徒・回教徒・ヒンズー教徒など

リカさんの心の旅の終着駅は

 リカさんは子供のころからそうした母親の苦悩を間近に見てきたが、高校時代から逆に母親の生き方に息苦しさを覚えるようになった。

 「大学進学で上京して一人暮らしを始めたら、放蕩一族のDNAが一気に開花しちゃったのね。それからは自分でもどこに流れてゆくのか分からない放浪人生ね。ロンドンでチャラチャラ合コンやったり、アメリカでヒッピー生活したり。そして流れ着いたのがジニとの静謐な生活。ゆったりとした時間の流れの中で純粋な魂を持った一人の人間の成長を見届けるの」とリカさんは長いモノローグを締め括った。

⇒第22回に続く

  
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