WEDGE REPORT

2017年12月28日

»著者プロフィール
閉じる

井上久男 (いのうえ・ひさお)

ジャーナリスト

1964年生まれ。88年九州大学卒業後にNEC入社。92年朝日新聞社に転職。主に経済部で自動車や電機産業などを担当。2004年に独立。著書に『メイド イン ジャパン 驕りの代償』(NHK出版)。近著は『自動車会社が消える日』(文春新書)。

 同社は「MBDでは、故障などのトラブルも想定してシミュレーションしている。不具合の発見と修正が前倒しでき、量産開始時には手戻りが大幅に減少し、効率的な開発が可能となる」(営業推進グループリーダー筒井敏彦氏)と説明する。実際、同社のツールを使った欧州の自動車メーカーでは2001~06年の間に車両不具合が75%減った事例もある。

 また、「IPGオートモーティブ」という、VRを使った車の開発ツールを提供する会社もドイツ企業だ。14年に日本法人ができて以来、日本の自動車メーカーの技術者が頻繫に出入りしている。

 自動運転の時代に入り、「現状でも600万シーンを想定して開発している」(大手メーカー中堅技術者)。シーンとは「映画の場面」と同じで、あらゆる状況を想定して車のソフトウェアに覚え込ませているのだが、それが完全自動運転になると億単位のシーンを想定して開発することになる、と言われる。実物で試作をしてテストしていたら開発に「100万年かかる」との試算も出ているため、同社は開発の効率性を求めて引く手あまたの状態だ。

 日本法人の小林祐範社長は日欧の違いについて「例えば、車体をスピンさせないブレーキ技術の開発で、欧州ではバーチャルテストのデータを早くから認証試験で使うことができ、最近でも実物なしの確認が増えた。これに対して日本は遅れている」と解説する。

 国交省も「バーチャル技術を使った認証については今後議論しないといけない」といった程度だ。最新技術に対応した規制の整備がもたつく間に技術はどんどん進化している。

 日本の遅れている例は開発手法だけではない。自動車部品最大手の独ボッシュはFOTA(Firmware update Over the Air)と呼ばれる、車載ソフトウェアを無線でアップデートする事業を18年末から欧州で始める。9月の独フランクフルトモーターショーにおいて、同社のフォルクマル・デナー会長はこうしたサービスが「将来の車両に標準機能として搭載される」と話しており、いずれ日本にも導入されるだろう。

関連記事

新着記事

»もっと見る