使えない上司・使えない部下

2017年12月26日

»著者プロフィール

 もっとリアルに言えば、5000万円という額を支給する場合、暗に「あなたの市場価値は年収500万円です」と言っているようなものです。60歳の定年まで10年とすると、500万円×10年で、5000万円となります。ここまで踏み込んで、本人たちに伝える大企業は少ないでしょう。しかし、人事部は「年収500万円相当の人材」としか見ていない可能性が高いのです。

 ところが、大企業では依然として、このレベルの人にも50歳で1000万円を支給している場合が少なくないのです。その大きな理由が、年功給によるものです。役職にふさわしい実績を残している本部長や執行役員クラスならば、年収1000万円で何ら問題はありません。働きや成果・実績に応じて、もっともらってもいいでしょう。

 しかし、実績がさほどない課長や非管理職にまで、1000万円に近い額を支給しているところがあるのです。この人たちに「5000万円前後を上乗せするから辞めてほしい」と言う会社は、労働市場の価値といかにかけ離れた額を支給してきたか、を立証しているようなものです。

 私は「使えない社員」はいないし、「不要な人材」もいないと考えています。能力、成果、実績などと賃金が見合わっていないことこそが、問題なのです。

 大企業でも、一部の情報産業や小売業界では割増金は基本給の半年~1年分くらいの会社が少なくありません。労働市場の価値に近い額を支給してきた会社ととらえることもできます。言い換えると、規模は大きくとも、経営の余裕がないとも言えます。今後、10年ほどでこのカテゴリーに入る大企業が増えるでしょう。

Q 大企業の新卒採用における総合職の位置づけ、あり方に大きな問題があるのかもしれませんね。

 私も、そのように考えています。多くの大企業では、今なお、「景気がよいと大量採用、不況になると大幅削減」という考えで学生を新規採用しています。1980年代後半のバブル期の採用とさほど変わらないのです。

 本来、総合職はいずれ、経営幹部になる人たちですから、その数をもっと減らすべきなのです。役員や管理職になれる人は一段と減っていくのですから…。

 「景気がよいと大量採用、不況になると大幅削減」という考えは、1950~1990年代前半までくらいは、正しい判断だったのです。この時代は経済が一時的に不況であれ、おおむね拡大期でした。拡大するとき、管理職の存在がもっとも大切なのです。しかし、この10数年は、大企業を取り巻く環境は拡大期とは言い難い。

関連記事

新着記事

»もっと見る