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2018年1月30日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。1972年共同通信社に入社、経済分野を取材し編集委員などを経て2010年に退職し、現在は経済ジャーナリスト。

 2015年から実施された相続税の増税により相続税の課税対象になる人が大幅に増加、土地家屋などの遺産をめぐって相続税対策への関心が高まっている。国税庁によると、課税対象となる相続人数は、15年には前年の5万6000人から10万3000人とほぼ倍に増えた。16年は10万5880人で前年より2.8%増え、しばらくはこの傾向は続くとみられる。一昔前は相続税というと一部のお金持ちだけの悩み事だったが、相続税増税で対象者が一気に拡大、庶民レベルでも対象になるケースが続出している。

(BrianAJackson/iStock)

税理士と宅建士が一緒に相談

木下氏

 これまで相続税は税理士に相談し、不動産の有効活用は不動産屋に相談するケースが多く、どちらかというと、目先の相続税負担を減らしたいために、無理をして不動産の価値を下げて売却してしまったり、節税対策でアパートを建設して思うように家賃が入らなくなる事例が多かった。

 地方の場合、高齢化により農業の担い手がいなくなり、耕作されなくなった農地を相続するケースが増えており、相続人にとって相続税負担を減らしつつ、相続した不動産を老後の安定した収入源になるようなアドバイスが必要になっている。

 そうしたニーズにこたえるべく税理士と不動産プロの2人がタッグを組んで今年9月に日本で唯一の「不動産の組み換え専門会社」の「ファルベ不動産」(東京都中央区)を設立した。税理士と不動産という異なる分野のプロフェッショナルが不動産相続ビジネスを支援することを目的に会社を作るのは初めてのことだという。

問い合わせ急増 

石川氏

 「相続税を減らそうと思うあまり、不動産の価値を大幅に減らして損をしているケースが多い」と話すのは税理士の木下勇人さん(42歳)。「税理士は不動産ビジネスの知識がないので、不動産の価値を生かせていない」と指摘するのは不動産相続コンサル事業を展開してきた宅地建物取引士でファルベ不動産の石川真樹社長(45歳)。この2人の思いがマッチしてできたコンサル会社が相続税対策で困っている相続人にワンストップで不動産の価値を最大にできる資産承継の提案をしている。

 相続税は、2015年1月からの税制の改正により、相続税の非課税部分の基礎控除が4割近くも引き下げられた。さらに人口の減少により法定相続人が減っている。この2つの理由から相続税を払わなければならなくなった人が急増、本屋には相続税の対策本があふれ、税理士には問い合わせが殺到した。25年には団塊の世代が75歳以上となり、これから相続案件がさらに増えるとみられている。

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