世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年1月11日

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 Dempseyは米国のアフガン政策の見直しを提言しており、米軍の大幅な撤退を述べていますが、8月のトランプの増派のみならず、現在の米軍の撤退まで考えているふしがあります。「例え米軍が大幅に撤退しても、米国や西側は財政、情報の提供、軍事的助言の面でアフガン政府を支援し続けるだろう」との記述はそれを示唆しています。しかし、そのような大幅な撤退は現実的とは思えません。

 オバマはアフガンからの撤退を外交の目標の一つに掲げましたが、途中で増派に切り替えざるを得ませんでした。9.11後のアフガン戦争は18年に及んでいますが、米国は負けるわけにいきません。さりとて、米国が勝つ見込みもありません。

 アフガン戦争は「テロに対する戦い」として始まりましたが、今やその性質を異にしています。論説が指摘しているように、米国にとって脅威であるISやアルカイダはアフガンを拠点としていません。タリバンはアフガンに根付いた土着の組織であり、ISやアルカイダのような国際的なテロ組織ではありません。

 米国のアフガン政策の目的は、タリバンがアフガン全土を支配下に置くことを阻止することです。アフガンへの増派を発表した8月の演説で、トランプも、「米国にとって勝利とは、ISとアルカイダを壊滅し、タリバンがアフガニスタンを支配するのを阻止することである」と言っています。Dempseyは、タリバンはアフガン全土を占領できないと言いますが、タリバンがじりじりと支配地域を拡大し、アフガンの治安が悪化する事態は防がなければならず、そのためには一定規模の米軍は必要でしょう。

 タリバン、米国政府、アフガン政府、いずれもアフガン情勢を左右する決定打を欠くのであれば、いずれは暫定協定を考えざるを得ないのではないでしょうか。アフガン政府とタリバンは2015年頃に和平の可能性を模索した経緯があります。米国は米軍でアフガンの治安維持に努めるとともに、タリバンとの何らかの和解の道も探るべきでしょう。

  
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