BBC News

2017年12月30日

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イランの第2都市マシュハドで28日に異例の反政府デモが起きたのを皮切りに、29日には複数の都市で物価上昇やハッサン・ロウハニ大統領に抗議するデモが相次いだ。

北東部マシュハドでは28日、物価上昇に抗議するデモが「過激なスローガン」を繰り返していたと、52人が逮捕された。

29日には、当局からの警告をよそに、抗議は北東部から北西部ラシュト、西部ケルマンシャーなどに飛び火。中部イスファハンやハマダーンなどでも小規模の抗議行動が起きた。首都テヘランでも約50人が広場に集まり、数人が逮捕されたという。

政府は違法集会に対する警告を繰り返しているが、ソーシャルメディアを通じてデモの呼びかけが広がっている。少なくとも7都市で同時にデモが行われたとみられる。集まる人数は、場所によって数十人から数千人とまちまちで、いずれも大群衆が集まっている状態ではないという。

イランにおける反政府デモは異例。今回の動きは2009年の大統領選挙の後、不正選挙だと反発する市民の抗議行動以来、反政府の動きとしては最大規模のものだと現地の記者たちは指摘している。

米国務省は、デモ参加者の逮捕を非難し、「基本的権利と腐敗の終わりを求めるイランの人々を、全ての国が表立って支持」するよう呼びかけた。

何に抗議しているのか

物価上昇への抗議を発端に、政治犯の釈放や警察暴力の停止を求め、幅広い反政府デモに拡大する動きもある。さらに、ロウハニ大統領の失政を批判するほかに、最高指導者アリ・ハメネイ師や聖職者による支配そのものを批判する人たちもいる。

デモでは、「国民は物乞いをしている、聖職者は神のまねをしている」などのスローガンが繰り返された。強力な権力をもつ聖職者が集まる宗教都市コムでも、デモが行われた。

ロウハニ政権が内政をおろそかにして、外国情勢に介入しすぎるという反発も強い。マシュハドでは、一部の人が「ガザでもない、レバノンでもない、自分の命はイランのため」と繰り返した。

オンラインに投稿されたビデオでは、参加者が「シリアを出ろ、我々のことを考えろ」と繰り返す様子も見える。イランはシリアのアサド政権を軍事・外交的に支える主要国のひとつ。

一方で、イランのエリート集団、革命防衛隊に近いファルス通信は、経済的苦境に不満を唱えていたデモ参加者の多くは、政治スローガンが繰り返されるようになると、その場を離れたと伝えている。

オンラインに投稿されたビデオでは、ケルマンシャーのデモでは治安当局とデモ隊が衝突する様子が映っている。

ファルス通信によると、ケルマンシャーではデモ隊が往来の器物を損壊し、解散させられたという。

テヘランでは、主要交差点に警察官を重点配備。デモ集会には厳しく対処すると表明している。

マシュハド当局は、集会は「反革命分子」によるものだと非難。オンラインのビデオでは、警察が高圧放水砲を使っている様子が見える。

<解説> ふつふつとたぎる不満――カスラ・ナジ、BBCペルシャ語

今回はイラン当局の意表を突く形で、デモが相次いだ。革命防衛隊と複数の情報機関が国民を強力に抑えている国で、突発的な反政府デモが相次ぐとは、実に珍しい現象だ。

当局は案の定、反革命分子や外国の工作員のせいにしている。しかしデモは明らかに、イラン国内でふつふつとたぎる不満に端を発したものだ。普通のイラン人の暮らしが、日に日に悪化しているからだ。

BBCペルシャ語が調べたところ、イラン国民は平均して過去10年間だけで15%貧しくなっている。

国民の多くは、本当ならば自分たちの生活向上のために使われるべき予算が、政府によってシリアやイエメンやイラクの紛争に使われていると不満を抱いている。さらに、宗教プロパガンダとイスラム教シーア派を世界に広める運動に、巨額の予算がつぎ込まれている。

とはいえ今回のデモの広がりは、反ロウハニ強硬派が意図したわけではなく、強硬派が開いた集会がたちまち制御不能となり各地に飛び火したもののようだ。

(英語記事 Iranian cities hit by anti-government protests

提供元:http://www.bbc.com/japanese/42520667

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