WEDGE REPORT

2010年12月7日

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 来年度の予算編成に向け、ねじれ国会を乗り切るために、民主党は再び社民党との連携強化に動き始めた。普天間移設を巡る意見の対立から、社民党が連立を離脱してわずか半年余り。防衛大綱の見直しなど、民主党が強化を図ろうとする安全保障政策の面で、両党の間には相変わらず深い溝が存在する。しかし、政権維持のために、民主党が再び安易な連立に走るのでは、という懸念も拭いきれない。

「政策」より「政権」 目的を履き違えた連立

 1993年の自民党単独政権崩壊以降、日本ではこれまで幾度となく安易な連立が組まれ、離合集散を繰り返してきた。政権奪取や維持を目的化し、具体的に実行する政策の中身を詰めずに連立に合意するため、いざ政策を決定する局面を迎えると、意見の対立が表面化するのである。互いにそれぞれの党是(自民党は「自主憲法制定」、社会党は「自衛隊違憲」)を転換した95年の自社さ政権でも、社会党は与党でありながら沖縄の米軍用地特別措置法に反対。そして、日米新ガイドライン関連法案で三党合意を得ずに自民党が閣議決定したことで、連立政権は崩壊した。99年に誕生した自自公政権も、介護保険制度の財源を全額税方式と主張する自由党が、社会保険方式を前提とした補正予算に反対し、連立離脱をちらつかせる一方で、自民党との合流を打診するが不調に終わり、結局連立を離脱している。

 なぜ、日本では、このように頻繁に連立の組み替えが繰り返されてきたのか。ここでは、安易な連立の最たる例として、先の社民党政権離脱にみる鳩山連立政権に着目する。日本と同様に、最近連立政権が誕生した英国と、連立合意書の中身を比較することで、日本の三党連立がいかに曖昧な合意の上に成り立っていたかを浮き彫りにしていく。そして、その背景にある根本的な問題に目を向けてみることにする。

こんなに違う! 日英の「連立合意書」

 昨年9月の衆院選後、日本の民主、社民、国民新の三党が交わした連立合意書(「三党連立政権合意書」)は、たったの5頁(本誌1頁・別紙4頁)だった。一方、英国では今年5月に行われた総選挙で、第1党の保守党と第3党の自民党との間で交わされた最終合意文書(「連立―政府のための我々のプログラム」以下、「プログラム」)は、実質26ページからなる膨大且つ緻密な内容のものである。この圧倒的なボリュームの差は、両国の連立政権が描く政策の「具体性」の違いを如実に表している。以下に、その一端を紹介していく。

 英国の連立政権が、具体的な数値を国民に示して、自らに目標を課している項目が、年金や地球温暖化である。日本の三党連立政権合意書では、「国民が信頼できる、一元的で公平な年金制度を確立する。『所得比例年金』『最低保証年金』を組み合わせることで、低年金、無年金問題を解決」することとしている。いつまでにどのくらいやるという数値目標はなんら約束されていない、なんとも抽象的な表現である。一方、英国のプログラムでは、「2011年4月から、賃金上昇率、物価上昇率、2.5%のうち最も高い率で年金をスライドさせる」、「年金支給開始年齢の66歳への引き上げ時期を前倒しするが、男性は2016年、女性は2020年以降とする。」としている。いつまでにどれだけ何をやるかを数値で明示して国民に約束している。

次ページ⇒ 具体的な数値目標以外で、英国にあって日本にないものとは?

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