BBC News

2018年1月5日

»著者プロフィール

トランプ米政権に不利な告発を複数含むとされる話題の新著が、予定より早く発売されることになった。著者が明らかにした。ドナルド・トランプ米大統領の顧問弁護士が、出版差し止めを求めてきたため、予定を早めたという。

ホワイトハウスに密着取材したという話題の新著の著者、マイケル・ウォルフ氏(64)は、当初は9日発売予定だったが、5日に前倒しされたと明らかにした。

ウルフ氏はツイッターで4日、「さて。明日になれば買えます(そして読めます)。大統領、ありがとうございます」と書いた。

https://twitter.com/MichaelWolffNYC/status/949023092357128194

米紙ワシントン・ポストは、本の発売差し止めを求めるトランプ氏の顧問弁護士チャールズ・J・ハーダー氏の通知を掲載。著者と出版社ヘンリー・ホルト・アンド・カンパニーに、「本書の今後の出版、公表、頒布(はんぷ)をただちに停止するよう」求めている。通知書はさらに、著者ウォルフ氏がトランプ氏について「複数の虚偽、もしくは根拠のない」発言を繰り返しており、名誉毀損(きそん)での提訴も検討していると書いている。

ハーダー弁護士は同日、バノン氏に対しても、トランプ・オーガナイゼーションと交わした秘密保持契約に違反したとして、職務上知り得た秘密の内容や侮辱的な情報の公表を停止するよう通知した

本の抜粋が3日に明らかになり、トランプ氏側近だったスティーブン・バノン前首席戦略官が、トランプ氏の長男がロシア人弁護士と面会したのを「売国的」と呼んでいるなどの内容が大きな話題となっている。トランプ氏はただちに内容を否定し、バノン氏は解任されて「正気を失った」、自分の当選や政権に何も貢献していないと切り捨てた。

政府の職を解任されて古巣の右派メディア「ブライトバート」に戻ったバノン氏は3日深夜、ブライトバート・ラジオの自分の番組で大統領からの批判に応え、トランプ氏は「偉大な人」で、自分は「明けても暮れても」大統領を支持していると強調した。

これについて、4日に大統領執務室で共和党上院議員たちと移民問題を協議したトランプ氏は、バノン氏に裏切られたのかという記者の問いかけに、「分からない。ゆうべは僕を偉大な人と呼んでいたから、明らかにあっという間に調子が変わった」と答えた。

共和党に巨額寄付を重ね、バノン氏が会長を務めるブライトバートにも出資しているレベッカ・マーサー氏も、バノン氏への批判を言明。マスコミ取材に応じることの少ないマーサー氏は、ワシントン・ポストに対して、「私はトランプ大統領と、彼を当選に導いた綱領を支持している。私も家族も、もう何カ月もスティーブ・バノンと連絡を取り合っていないし、彼の政治アジェンダに何の経済的支援もしていない。彼の最近の行動や発言も支持しない」とコメントした。

ホワイトハウスのサラ・サンダース報道官はこの著書について、「ホワイトハウスに何のアクセスも影響力もない複数の個人から聞き取った、作り事や誤解を招く話に溢れている」、「下品なタブロイド的でっちあげとしか言いようがない本」と強く非難した。

メラニア夫人のステファニー・グリシャム報道官も、本の内容を否定する声明を発表。「トランプ夫人は、夫の大統領選出馬を応援し続けた。むしろ、出馬するようにと促したのが、夫人だった。勝つと確信していたし、勝利をとても喜んでいた」と反論した。

ホワイトハウスは4日、治安上の懸念を理由に、ホワイトハウスの執務棟「ウェストウィング」内で、携帯電話を含む個人情報端末の使用を禁止すると発表した。


<関連記事>


本の中身は

ウォルフ氏は米誌ニューヨーク・マガジンやバニティ・フェアなど様々な媒体に定期的に寄稿しているジャーナリスト。メディアやその背後にいる資産家などの裏側について、読者に紹介するのを得意としている。

2008年に発表したメディア王、ルーパート・マードック氏の評伝「The Man Who Owns the News(ニュースを持つ男)」などが特に有名。その著作の内容は批判されることもあり、書かれた当人が公に反論することもある。

ウォルフ氏は今回の本について200人以上を取材したと説明し、政権内部の様子を取材するため、トランプ大統領就任以降、ウェストウィング内の「ソファにほぼ専属の場所を」確保していたと書いている。すでに内容の一部について、批判や疑問が出ているが、これまでに注目されている内容には次のようなものがある。

  • トランプ陣営は大統領選に勝ってショックを受け、とんでもないことになったと愕然(がくぜん)としていた
  • 当選した夜、メラニア夫人は悲しみの涙に暮れていた
  • トランプ氏は一流アーティストたちが自分の就任式に出演しなかったと怒っていた
  • 新大統領はホワイトハウスが「居心地の悪い、むしろ少し怖い場所」だと感じていた
  • 長女イバンカさんは夫ジャレッド・クシュナー氏と、自分が「初の女性大統領になる」と計画していた
  • イバンカさんは、父親の手の込んだ髪形をからかい、「その仕組みを友人たちによく説明していた」

しかし、BBCのジョン・ソープル北米編集長は、たとえ内容の半分しか事実でなかったとしても、強迫観念にかられた大統領と混沌状態にあるホワイトハウスの様子を、手厳しく描いていると話す。

また、アンソニー・ザーチャー北米担当記者は、トランプ大統領の顧問弁護士による差し止め通知のおかげで、著者ウォルフ氏も出版社も、金では買えないような宣伝効果の恩恵を受けたと指摘。「提訴すると脅すのは、ニューヨークの有力不動産業者だったころからトランプ氏におなじみの手法だが、実際に裁判に持ちこむことはめったにない。今回のような場合、実際に法廷で争うのは、特にリスクが大きい」と説明する。

さらに、米国の名誉毀損罪は「現実の悪意」を構成要件とするだけに、ウォルフ氏側の弁護士は、ウォルフ氏が自ら書いた内容を真実と思うだけの根拠があったと立証するため、大統領自身を追及することが可能になり得ると記者は指摘する。

(英語記事 Trump Bannon row: Book publication brought forward to Friday

提供元:http://www.bbc.com/japanese/42574749

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る