2024年4月26日(金)

Wedge REPORT

2010年12月10日

 「選択と集中」は、大学に対する予算だけでなく、組織の活動が多様化する中で、どの組織の運営でも重視されるようになった。研究者に取材をしていて聞かれるのは、「『選択と集中』からこぼれてしまった研究者は研究ができなくなる」といった悲鳴だ。こと日本では、何事にも均等的配分がなされてきた文化があるため、選択と集中は不公平感につながりやすいのだろう。とりわけ、基礎科学については目的を説明しづらいため、何に選択をすればよいのかも難しい課題となる。そこで予算を獲得したい研究者たちは「応用研究に役立つ基礎研究」という、限定的な意味での基礎研究を行うことに傾きがちになる。難題ではあるが、純粋な基礎研究がどのように重要であるかを、評価する側も研究する側も、追究しつづける必要があるだろう。

 大学の基礎研究に対して「選択と集中」が進む一方で、もう一つの基礎研究の担い手には、別の大きな変革が迫っている。38の研究を担う独立行政法人が、「国立機関」として再編されるというのだ。(つづく)


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