古都を感じる 奈良コレクション

2010年12月21日

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 奈良市から南へ車で40分、山添〔やまぞえ〕村は夏でも夜は涼しい緑豊かな農山村である。

 今年の夏、山添村にあるたったひとつの小学校、やまぞえ小学校を訪問した。

 校長先生によると、こどもたちはとても素直だけれど、自分の意見を伝えるのが苦手なので、そのあたりをしっかり指導しているとのこと。自分の考えを声高に主張しないのは美徳と私は思うが、今の時代はそれではやっていけないのかなと思ったりした。

 まず6年生の教室へ。算数の授業をしていた。みんな積極的に手を挙げて発言する。○○さんはこう言いましたが、私はこう思います。しっかり自分の考えを言える。レベルの高い授業に感心した。

 そのあと3年生の家庭科、2年生の英語、1年生の音楽の授業を見せていただいた。

 2年生で英語! これにはびっくり! グループに分かれ、英語の単語カードを使ってトランプの神経衰弱のようなゲームをしていた。めくって同じカードだったらいいのだが、「やった!」と歓声をあげて手をたたく女の子がいたので、目をやると、それは別の男の子が同じカードをめくったからだった。自分のことじゃないのにあんなに大喜びしている‥‥。先生が脇を通ると抱きつこうとする男の子もいる。

 どの学年のこどもたちも素直でかわいい。幸せな気分になっていたら、校長先生が耳元でささやいた。「6年のこどもたちに話をしてもらえませんか?」

 そんな予定ではなかったが、引き受けてしまった‥‥。

 6年生は全員で20人。私は東大寺の大仏の話から始めることにした。

 「大仏さまは誰が造ったでしょうか?」

 聖武天皇という答えを待って、こんなふうに尋ねるつもりだった。

 「聖武天皇と力を合わせて大仏を造ったお坊さんがいます。それは誰でしょうか?」

 しかし、返ってきた答えに驚いた。

 「聖武天皇と行基〔ぎょうき〕さんが力を合わせて造りました」

 いきなり2問分の答えを言われてしまったが、これは偶然ではない。山添村のこどもたちは行基さんのことをよく知っている。

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