前向きに読み解く経済の裏側

2018年1月29日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

「人命は地球より重い」わけではない

 寒村の話を離れて、高齢者医療についても考えてみましょう。かつて、「人命は地球より重い」と言った偉い人がいました。しかし、実際には「100万円あれば救えたかもしれない命」が日本国内に多数あります。世界を見渡せば、「1万円あれば救えたであろう命」も多数あります。問題は、優先順位を付けることです。

 「1億円の薬を100歳の末期ガン患者に投与すると、1日延命する」という場合、投与すべきでしょうか。「1億円と言っても日本国民1人あたり1円だから、大した負担ではないから、投与してあげよう」と考える人もいるでしょう。

 国レベルで考えると、どうしても自分の負担が1億分の1なので安易に「それくらいの費用なら」と考えてしまいがちですから、まずは地方自治レベルで「そのコストは住民1人あたり何円の負担になるのだろう」と考える習慣を付けたいものですね。

P.S.
 上記を読んだ読者は、筆者のことを「弱者切り捨て論者」だと思われたかもしれませんが、そうではありませんので、誤解なさいませぬよう。経済は暖かい心と冷たい頭脳で見つめるべきものです。その中で、本稿では冷たい頭脳の部分だけをご披露したものです。

 筆者にも人並みに暖かい心はあり、赤い羽根共同募金にも支援しますし、道端に倒れている人がいたら助けます。経済学理論には反しているかもしれませんが(笑)。

  
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