家電口論

2018年2月17日

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多賀一晃 (たが・かずあき)

生活家電.com主宰

スマート家電グランプリ審査員。主催する『生活家電.com』を通じ、家電の新製品情報、使いこなし情報他を発信中。過去、某メーカーでAVメディアの商品企画を担当、オーディオ、光ディスクにも精通。また米・食味鑑定士の資格を有する。水、米、パン、珈琲、お茶の味に厳しい。

 これは元々のホールが、第二次世界大戦のベルリン空襲で焼けてしまったため、新しく作った時の工夫だ。コンペで決まったそうだが、コンセプトは「人・空間・音楽の新しい関係」。近代ホールの成功例でもあり、サントリーホールも同じ形式で設計されている。

 独特の作りなので、音のための工夫は至るところにされている。一番大きいには天井に反射板がぶらさがっていること。とにかくフィルハーモニーはいろいろなものが天井からぶら下がっている。反射板に、マイクに、スピーカー、そして電光掲示板(コンサート形式のオペラの時、英訳が出る)まで。

フィルハーモニーの天井はいろいろなモノがぎっしりつり下げられている。上の方にある台形が反射板、中央の反っているモノはスピーカー、手前の長四角は電光掲示板。

 また、客席は18のブロックに仕切られ、行き来ができない。これも音響を整えるためと言われている。このためホールの周りをいろいろな通路が付けられまるで蟻の巣のようだ。昔ながらのホールで最も音が良いのは、オランダのコンセルトヘボウと言われている。「奇跡の響き」と称される古いホールだ。こちらは改修すると音の響きが変わるとされ、これ以上朽ちないようにサヤ堂で覆われている(中尊寺の金色堂と同じ)。

 だが、フィルハーモニーは、天井に反射板があるように、いろいろと手を加えることができるホールだ。実際、改修も行われている。近代ホールの元祖と呼ばれるフィルハーモニーは、多分、欧州で2番目に音のいいホールだと思う(1位は「コンセルトヘボウ」)。

 ホールのそこかしこに、無人カメラが仕込まれている。カメラには「4K」と「Panasonic」。見て驚いたのは、その小ささだ。このレベルだと邪魔に思う人もないはずだ。

そなえ付けのカメラ。観客が意識しないで済むレイアウト

 カメラの制御は、天井桟敷席の上、極々狭い部屋だ。潜水艦のように、ムダのない機能美に溢れる部屋。ここからコンサート中継される。4K、HDR配信の心臓部とも言えるところだ。

 パナソニックが貸し出しているのは、機材だけではない。エンジニアも付きっきりのサポートだ。BPhサイドは、世界一のオーケストラの誇りにかけても、レベルを下げることはしない。技術サイドはひたすら頑張るしかないわけで、当然技術レベルも急速に上がる。

 「ベルリンフィルは100年前から最高の技術を求めてきた。今回の4K、HDRの技術革新は、我々だけではできなかった。彼等(パナソニックの技術陣)がいてくれたからこそ。素晴らしい」と褒め称えていましたが、そう言えるまで、いろいろなことがあったはずだ。

ベルリン・フィルのZimmerman氏

4Kのテレビを測る標準コンテンツとしても期待

 いい放送がなく、4Kテレビで何を観るのか問われることが多いの現在、BPhがこれだけのコンテンツを用意したのはスゴいことだ。逆な言い方をすると、今のテレビ、4K、HDRと威張ってみても、決定的に音が足りていない。もしこのDCHを内蔵スピーカーだけで、画も音も満足行くレベルまで再現できるとなったら、それこそスゴいテレビだと言える。

 変な言い方かもしれないが、このようなコンテンツがあって初めて、音も映像もスゴいと言われるテレビが出てくるのではないか? 4Kと言うのはデジタル規格であり、4Kテレビはすべてその規格を満たすので、4K自体は技術優劣がない。1台で済む、音も画もいいテレビは、まだ十分な製品が出てきてないように思う。

 映画の方でも、いい4K、HDRのコンテンツが出始めた。映画では、音は従。DCHは逆で、映像が従だ。クルマの両輪が揃った感じになる。DCHは4Kのテレビを測る標準コンテンツとして期待していい。

 8Kが話題となっているが、4Kのコンテンツが揃った今、4Kの技術もよりリファインされる。もちろん8Kに活かすのもありだが、テレビの価格をあるレベルで安定させるためにも、今一度4Kテレビを見直して欲しい。

  
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