WEDGE REPORT

2018年2月15日

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田中淳夫 (たなか・あつお)

ジャーナリスト

静岡大学農学部卒業。出版社、新聞社を経て、主に林業を中心に取材・執筆。著書に『森と日本人の1500年』(平凡社新書)、『森は怪しいワンダーランド』(新泉社)など多数。

 加えてバイオマス発電も木材需要を伸ばす切り札とされた。コストが合わずに林内に捨て置かれていた未利用材(切り捨てられた間伐材や枝・梢、切り株など)を燃料として使うものだ。搬出経費はFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)で価格を嵩(かさ)上げして賄う計算である。すでに15年から燃料材の区分を新設している。

 現在稼働中のバイオマス発電所のうち未利用材によるものは発電容量の3分の1を占める。しかし、思いのほか林地からの搬出が進まず、燃料不足に陥ってきた。そのため残材ではなく燃やすために伐採したり建材になるような木を燃料に回すケースも増えてきた。一方で輸入燃料(ヤシ殻、木質ペレットなど)を使用したバイオマス発電計画が次々と申請されているが、これでは本末転倒だ。

相続や後継者の不在のため、山の木を全部伐って林業を打ち止めにする山主も出てきた (写真・ATSUO TANAKA)

 より問題なのは、合板や燃料材の用途は、製材用途と比べて価格が安いことである。いくら木材を生産しても山主の手元にはほとんど残らない。森をつくった努力は報われないのだ。だから伐るのに消極的になる。

 また後継者がいない山主は、自分の代で林業を終わらせたい願望もある。だから主伐で山の木を全部現金化しようという発想も生まれる。その場合、跡地に再造林を行う意欲はない。利益が消えてしまうからだ。

 一方で森林組合や民間の林業事業体にとっては、補助金がつくことで主伐が推進されると仕事が増える。利益は木材の販売ではなく補助金で得るわけである。伐採に続く再造林作業も仕事になるから歓迎だ。

 このような各者の思惑から、再造林をセットにした主伐補助金が考えられたのだろう。

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