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2018年2月1日

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ポーランド上院は2月11日、ナチス・ドイツによるユダヤ人などの大虐殺(ホロコースト)について、ポーランドが加担していたと批判することを違法にする法案を可決した。法案については、イスラエルが強く批判するほか、米国が懸念を示していた。

異論の多いこの法案は、ナチス・ドイツがポーランド領内に作った強制収容所を「ポーランドの」と呼ぶことも禁止している。違反行為には罰金刑もしくは最長3年の禁錮刑が科せられる。

AFP通信によると、法案は賛成57、反対23、棄権2で可決された。法案は大統領の署名をもって成立する。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は1月28日、「強く反対する。歴史を変えることはできないし、ホロコースは否定できない」と声明を発表し、法案を廃案にするよう呼びかけていた。

米国務省も1月31日、法案が成立すればポーランドの表現の自由を損なう恐れがあり、ポーランドの外交関係に悪影響を及ぼしかねないと懸念すると述べ、ポーランド政府に再考を促した。

これを受けてポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領はテレビ・インタビューで、ポーランドには「歴史の真実を守る」権利があると主張し、法案を取り下げるつもりはないと述べた。

ポーランドは1939年、ナチス・ドイツに侵攻、占領された。ホロコーストで殺害されたポーランド系ユダヤ人300万人を含め、市民数百万人が命を落とした。

ポーランド政府はかねてから、アウシュビッツ強制収容所などナチス・ドイツがポーランド領内に作った施設を「ポーランドの死のキャンプ」などと呼ぶのは、ポーランドにも責任があったかのような印象を与えると、強く反発してきた。

イスラエルのナフタリ・ベネット教育相はこれに同意し、「ポーランド内にある労働と死のキャンプについて、発案、計画、建設したのはドイツだった。これは歴史的事実だ。それが真実で、どのような法律もそれを書き換えることはない。次世代にも事実を教えなくてはならない」と述べている。

その上で教育相は、「多くのポーランド人がユダヤ人の殺害を支援したのは、歴史的事実だ。ユダヤ人を引き渡し、虐待した。ホロコーストの最中とその後で、自分たちでユダヤ人を殺したこともあった」と述べ、ポーランドの法案を「真実を無視する恥ずべきもの」と呼んだ。

ポーランド政府は、法案はホロコーストに関する研究や議論の自由を制限するのが目的ではなく、海外における国の名誉を守るためだと説明している。

法案を起草した法務省のパトリク・ヤキ副大臣は、イスラエルの反応がまさに「いかにこの法案が必要かという証明だ」と述べた。

(英語記事 Poland's Senate passes controversial Holocaust bill

提供元:http://www.bbc.com/japanese/42901060

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