使えない上司・使えない部下

2018年2月8日

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吉田典史 (よしだ・のりふみ)

ジャーナリスト・記者・ライター

ジャーナリスト。1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年から、フリー。
主に、人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。『悶える職場』(光文社)、
震災死』『あの日、「負け組社員」になった…―他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)『封印された震災死』(世界文化社)など。

プロダクト・アウトの発想は時代錯誤で、
自分たちが損をするだけなのに

 ベンチャーでも、きちんとしている会社はある。A社は、創業から15年ほどが経ち、今は社員数が500人を超える。子会社を入れると、1000人を軽く超えるかな。あの会社の社長はネット上でボコボコにされて、炎上を数えきれないほどに経験した。だから、発言を見聞きしていても、ある部分では謙虚。今は、本格的な上場(東証1部)企業であり、社員の意識も成熟している。広報担当も、大企業のように大人の対応ができるのだと思う。

 こういう会社はベンチャー全体から見ると、少数じゃないかな…。増えてほしいけど。私は、この25年ほどでおそらく、600~700社のベンチャーを取材した。そのうち、大企業並みの大人の対応ができると感じたのは、20~30社くらいだった。

 ベンチャーは、会社として取材を受けるという経験が浅いんだ。そのノウハウが、組織として蓄積されていない。一例でいえば、ある有名ベンチャーでは、学生時代、マスコミ学を勉強しました、なんてアピールする女子大生を広報担当として採用している。採用されるのは、きれいな女が多い。ところが、その人に教える上司や先輩がいない。で、不満を持ち、数年で辞めていく。また、きれいな女が入ってくる。この広報ウーマンたちや上司らしき人は広報とIRの区別もついていない。

 ここには、10年くらい残っている担当者もいる。自分ひとりで「広報しちゃっています」と思い込む。ひとりで原稿を改ざんしていると、気分よくなるんだろうね。何かをチェックしていると、自分が経験豊富で、仕事をマスターしていると信じ込む。上司が教えないから、錯覚はますますひどくなる。

 このような担当者は会社を広報するんじゃなく、自分を広報しているんじゃないかな。「私たちはこうです」と事実をねじ曲げて世に売り込むほどに、取材する側も読者の側も心が引いていく。そんなプロダクト・アウトの発想は時代錯誤で、自分たちが損をするだけなのに。それがわかっていないから、使えない広報担当なんだ。

  
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