世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年2月12日

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 この論説で、ウォルター・ラッセル・ミードは、野心を膨らませる中国とそれがもたらすインド・太平洋地域の地政学的変容が米国にとって最大の挑戦であり、これに対抗するために米国は断固たる態度で中国に当たらねばならない、という新たなコンセンサスが米国で現れつつあると論じています。米国の外交政策を巡る議論は分裂しているように見えるが、新たなコンセンサスが生まれつつあるといいます。正鵠を得た問題意識であり、そういうコンセンサスが生まれつつあるのであれば、評価し歓迎されるべきです。それは、我が国が当面する最大の挑戦でもあります。

 ミードが何を根拠にそういう観察に至ったかについては必ずしも良く判りませんが、新たなコンセンサスが一貫した戦略に結実して行くかは今後のことであり、それは可能であると言っています。未だ形がなく、従って我々には見えにくいのかも知れません。我が国としては、官民を問わず、その種の戦略の形成を後押しする雰囲気の醸成に努めることが望まれるでしょう。

 ミードの目にとまったかどうか分かりませんが、1月2日、Alibaba Group(阿里巴巴集団)のAnt Financial(螞蟻金融)による米国の国際送金サービス大手MoneyGram Internationalの買収が対米外国投資委員会(CFIUS)の承認が得られなかったために頓挫したことが明らかになりました。MoneyGram InternationalのCEOは「地政学的な環境が買収計画を発表した一年前とは大きく変化した」ことが買収失敗の原因と説明したといいます。米兵とその家族の資産データが中国に握られると買収に反対した下院議員がいたらしいです。昨年1月、Alibaba Groupのジャック・マー会長は、就任前のトランプ大統領と会見して100万人の雇用創出を約束したといいますが、それでもワシントンで強まる中国警戒の空気には勝てなかったということかも知れません。

  
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