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2018年2月14日

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日本で根強い母乳信仰

――「母親にしかできない仕事だから」というような言い方もありますね。

村井:日本の場合は母乳信仰が未だに強いからっていうのもありますね。断乳していない状態だと男性が介入しようにも介入しづらい部分があるだろうし。アメリカの場合は育休からの復帰も早いこともあり、粉ミルクに対する「罪悪感」は全然ない。「授乳授乳って気持ち悪い」って言う人もいますよ。

――日本でそんなことを言ったらすごく非難を浴びそうです。

村井:日本のお母さんでも「気持ち悪い」って思ってる人もいると思いますよ。私の場合、双子だったので最初から完全に粉ミルクでした。双子を母乳で育てるとお母さんがギスギスに痩せてしまうこともあるので。病院の先生も「あなたの母乳より粉ミルクの方が栄養価が高い」って。「粉ミルクを山積みに用意して、哺乳瓶は10本買いなさい(毎回消毒をせずにすむ)」と言われて、その通りにしたら本当に楽でしたね。母乳信仰や自然分娩が一番というプレッシャーは未だに強いですよね。

子どもは24時間「親と一緒」を本当に望んでいる?

――『子どもが産まれても……』の中では、夫婦の時間を楽しむためにたまにはベビーシッターを利用しなさいとか、母親が精神的な安定を保つためにたまには育児や家事を夫に任せたりアウトソーシングしたりして、自分だけの時間を持ちなさいとアドバイスをされる場面もあります。日本だと楽をするために育児をアウトソーシングするという考え方が、非常にタブーだなと感じます。楽をするっていうのは精神的な余裕を持つために必要なことだと思うのですが、ヤフーニュースのコメント欄とかではとても叩かれやすいですね。

村井:発言小町とかね。家事をアウトソーシングすることを「愛情がない」って捉える人が多いことがびっくりですよね。たとえば私は自動で揺れるゆりかごとか、いろいろな器具をレンタルしたんです。でも見る人が見たら、こんなことを機械にやらせるのかって。イチから自分で作った離乳食じゃなきゃダメっていう人もいるし、「お金をかけて育児の手間を省く」ことは、「愛情がない」と置き換えられる。それは無痛分娩や帝王切開はダメで自然分娩がいいって考え方にもつながっていますよね。

――日本はそもそもベビーシッター文化があまりないですけど、夫婦2人の時間ってやはり大事だし、それナシに夫婦仲良くしろ、なんでも話し合え、そうしている人もいるんだからっていうのも、精神論っていうか、なかなか難しい話だなと思います。

村井:本書の中でも、親たちは子どもが「親と一緒にいることを望んでいる」と思っているけれど、子どもたちは「両親のストレスが少なくなってほしい」ことや「両親の徒労が減ってほしい」ことを願っているという研究が紹介されています。

――本当は、「子どもはいつでも親といたい」は、親の思い込みかもしれない。

村井:ただ、日本でシッターに預けたいと願ってもなかなかできない環境にありますよね。どんどん経済的にも厳しくなっているので、2~3時間の余裕が欲しいからといって5~6000円をベビーシッターに払えるかって言ったら、なかなか厳しい。そういう現実的な問題もあるでしょうね。

――確かにそうですね。また、本書では母親が何でもやりすぎる問題、夫の育児に目を光らせる問題も指摘されていますね。それが結果的に母親に負担が偏ることにつながると。

村井:夫が何かやると「それは違うわよ」って否定したり、自分がやった方が早いからって先回りしてやってしまう。妻が「門番」の役割をしてしまうと書かれていますね。ずっとそれを続けていると、育児に関して夫を信頼できないままになってしまいます。

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