WEDGE REPORT

2018年2月14日

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田村明子 (たむら・あきこ)

ジャーナリスト

盛岡市生まれ。1977年米国に単身留学し、1980年から現在までニューヨーク在住。著書に『ニューヨーカーに学ぶ軽く見られない英語』(朝日新書)、『知的な英語、好かれる英語』(生活人新書)、『女を上げる英会話』(青春出版社)、『聞き上手の英会話』(KADOKAWA/中経出版)など。翻訳書も多数。フィギュアスケートライターとしても知られており、『銀盤の軌跡』(新潮社)などの著書もある。

 女子は宮原知子がSPで、ジャンプの回転不足を厳しくとられて思いのほか点が伸びなかったことが話題となった。選手や専門家の間でも、この判定には疑問の声が寄せられた。

 ジャンプの回転の判定、スピンのレベルの判定はその大会のテクニカルパネルの顔ぶれによって、緩やか目、厳しい目と、ある程度のばらつきがあるのが現実だ。残念ながらストップウォッチなどできっちり測れる競技ではなく、人が判定する限り、常に白黒がきちんと納得のいく形でつくわけではない。それでも受け入れざるを得ないところに採点競技の厳しさがある。

 「あんまり悪いジャンプだったと思っていないので、少しの修正で頑張って直したいと思います」と前向きにコメントした宮原。個人戦も、同じテクニカルパネルの顔ぶれになるはずである。女子SPの本番まであと1週間少し。少なくても団体戦のおかげで傾向がわかり、濱田美栄コーチとともに、しっかり対策を練っているに違いない。

 フリーを担当した坂本花織は、出だしのジャンプで少々着氷がつまり、勢いをそがれた演技になってしまった。また男子フリーで出場した田中刑事は、やはり出だしのジャンプ2つを連続して失敗。「この失敗を個人戦に生かすしかない」と決意を述べた。

 今回の団体戦に出た日本男女シングル4人は、いずれもオリンピック初挑戦である。それだけに団体戦は日本チームにとって経験として有意義だった。

金メダルは「一番手」作戦のカナダ

 一方ペアの須崎&木原組、アイスダンスの村中&リード組は、いずれもショートでは持てる実力を発揮した好演技を見せて、日本チームのSP通過に貢献した。

 だが勝ち残った他の4か国は、ペアもアイスダンサーもGP大会でメダルを取る強豪ばかりが顔を並べた。緊張もあったのか、フリーでは2組ともミスが目立って日本チームはソチオリンピックと同じ、総合5位に終わった。だが少なくても日本が4種目揃って団体戦で健闘したこと、そして個人戦前に選手たちが本番リンクの雰囲気を味わえたことは、大きな収穫だった。

 初の団体戦金メダルを手にしたのは、カナダチームだった。ソチオリンピック王者だったロシア(OAR-オリンピックアスリートフロムロシア)は2位、長洲未来がフリーで3アクセルを成功させて健闘したアメリカが3位という結果になった。

 この3か国はいずれも長い伝統を持つフィギュアスケート王国で、シングルとカップル競技の両方で層が厚い。団体戦の普及によって、日本にも少しずつではあるが、ペアやアイスダンスを目指す若手たちが増えつつあるのは、喜ばしいことだ。

 今回のカナダチームは、女子以外はカナダチャンピオンと2位の実力差が大きく、SPとフリーの選手を入れ替えることなくすべて一番手が出場という作戦で、みごとに金メダルを獲得した。中でもパトリック・チャンとアイスダンスのバーチュー&モイアは、4年前のソチオリンピックで、惜しくも銀メダルで涙をのんだ選手たち。今回は団体戦で、念願の金メダルを手にして幸先良いスタートとなった。

 「この嬉しさは、とても口では言い表せない。チーム全員が、平等に貢献できました。みんなのことを誇りに思います」とパトリック・チャンが嬉しさを語った。

  
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