2024年4月20日(土)

ネルソン・コラム From ワシントンD.C.

2011年1月14日

 普天間問題を巡るオバマ政権の対応の不手際を批判する向きが1年以上前に初めてこうした考えを持ち出した時は、我々の取材で国防総省や国務省、はたまたホワイトハウスの一部情報源さえもが極めて無礼な言葉を発したことは、はっきり証言できる!

「結局、米国は正しかった」

 米国の態度の「軟化」には重要な要因があった。前原外相が講演で極めて明白に言及したのは、攻撃性を増す中国の海洋政策が呈する戦略的な現実、あるいは脅威とも呼べる動きについて、米国がずっと正しかったという認識の高まりによって、民主党議員の多くが「急進化」したことだ(急進化というのは前原外相ではなく、我々が使った言葉だ)。

 (尖閣諸島を巡る争いは間違いなく、最も熱心な平和主義者を除く日本人全員にとって警鐘となった)

 また、言うまでもなく、北朝鮮の核・ミサイル開発計画の脅威の高まりがある。それをはっきり思い知らせることになった昨年3月の韓国哨戒艦に対する恐ろしい攻撃や韓国の施政下にある島への2カ月前の砲撃はいずれも、歴史上、「戦争行為」と呼べるものだ。

中国と北朝鮮のおかげ

 こうして北朝鮮と中国は無意識のうちに、二重の目的を果たした。米国にしてみれば、両国は日本政府と韓国政府に、米国政府との戦略同盟の継続的な重要性、ことによれば決定的な重要性を納得させる一助になり、また、ほんの1年前ですら考えにくかったような対話や協力、積極的な防衛計画を、日韓間にさえもたらす一助になった。

 では、日米関係を上向かせたり、逆に後退させたりする可能性のある政策問題はほかにあるだろうか? 貿易問題がある。特に重要なのが、民主党が何とかして自身を納得させて農業ロビー団体と賢く対処し、画期的な出来事になり得る米国率いるTPP交渉に日本が全面参加する道を開けるかどうか、だ。

 この問題は、後のWEDGE Infinityのコラムのために取っておこう。

(後篇へ続く)

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