世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年2月28日

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 今回の共同発表は、26項目、8頁にわたる日仏関係強化のための包括的文書となりました。上記に列挙した以外にも、アフリカや中東での協力、宇宙やサイバー分野での連携等が明記されました。今年が日仏外交関係樹立160周年であることから、この機会に日仏両国の関係をさらに発展させたいという思いが伝わってきます。

 昨年5月、フランスでは大統領選挙があり、マクロン新大統領が誕生しました。その後の国民議会選挙でもマクロンの与党は過半数を大幅に上回る圧倒的勝利をあげました。日本でも昨年10月に衆議院総選挙があり、安倍政権は引き続き安定多数を占めました。このような日仏両国の新しい新大臣4名が今回の日仏「2+2」を主導しました。

 もともと「2+2」は、同盟国である米国との間で始まったものです。その後、日英間、日豪間でも行われていますが、忙しい日程の外務大臣、防衛大臣4名のスケジュールを合わせるのは容易なことではありません。実際、フランスが「2+2」を行なっている相手国は日本だけだそうです。外交及び国防のトップが同時に話し合って共通認識を持つことは、外交と安全保障の重なる分野がますます増えている現在、大変有意義なことだと思います。

 今回の共同発表の中でも、日本にとっての注目点は、北朝鮮問題と海洋問題だったと思います。喫緊の課題である北朝鮮の核・ミサイル問題に国際社会全体で取り組む重要性、そしてその中におけるフランスの協力も明記されました。また、海洋の問題では、中国という名指しこそしていませんが、南シナ海問題、東シナ海問題が列挙され、一方的行動をとっている中国を非難したものとなっています。この文書を発表後、河野外務大臣は、1月27-28日と中国を訪問しています。自由で開かれた海洋秩序の重要性や自由と民主主義の価値を共有する諸国との共通認識を示した後の日本外交は、より説得力のあるものとなるでしょう。

 フランスは遠い欧州の国と考えがちですが、フランスは現在でも海外領土を有し、そのうち太平洋にあるのがニュー・カレドニアやタヒチ島を含む仏領ポリネシアです。これらの地に、フランス軍は駐留しています。

 上記の共同発表文書には、「自由で開かれたインド太平洋」のために日仏両国が協力すると謳われています。この「自由で開かれたインド太平洋」という言葉は、1月19日に発表された.米国国防戦略にも頻繁に登場する言葉です。昨年(2017年)5月には、「ジャンヌ・ダルク2017」演習の一環として、日仏英米4か国による合同軍事訓練が行われました。本年(2018年)2月には、仏フリゲート艦「ヴァンデミエール」が晴海に寄港し、海上自衛隊の「ゆうぎり」と日仏合同訓練を行いました。太平洋国家としての側面をもつフランスと連携することは、自由で開かれたインド太平洋を維持する上で、有意義なことだと考えます。

 最近、マクロン仏大統領は中国を訪問しましたが、日本への訪問はまだ実現していません。日仏外交関係樹立160周年の機会に、安倍総理のフランス訪問と、首脳同士の相互訪問が果たされ、日仏関係がさらに発展することを期待します。

  
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