変わる、キャリア教育

2018年2月21日

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福島創太 (ふくしま・そうた)

1988年生まれ。教育社会学者。早稲田大学法学部卒業後、株式会社リクルートに入社。転職サイト「リクナビNEXT」の企画開発等に携わる。退社後、東京大学大学院教育学研究科修士課程比較教育社会学コースに入学し、修了。現在は株式会社教育と探求社で、中高生向けのキャリア教育プログラムの開発に従事しつつ、同大学院博士課程に在学中。近著に『ゆとり世代はなぜ転職をくり返すのか―キャリア思考と自己責任の罠』

 これからこうした取り組みはさらに加速していく可能性がある。それは安倍内閣がすすめる「人づくり革命」と関係している。先月(1月)に経済産業省産業人材政策室がだした「「働き方改革」と「人づくり革命」の最近の動向について」という資料を見てみると、第3章の「生産性革命」という項目の中に「個人の力を引き出す雇用・教育環境の整備」とあり、「学びと社会の連携促進事業」も改めて示されている(連載第1回参照)。リカレント教育などがここ最近は注目されているが、人材への投資、特に若い世代への教育を社会全体で行っていくということは、もはや日本政府の大きな方針の1つなのである。その一つの現われが、企業と学校が連携したキャリア教育である。

 この記事を読まれている方々の中にも、「職場体験」や「職業体験」を体験された方、もしくはお子さんが体験された方は少なくないだろう。おそらく、2~3日職場に赴き、仕事を実際に体験し、その後、ワークシートなどをもとに振り返りを行ったのではないだろうか。あるいは積極的な学校では事前学習なんかもあったかもしれない。もちろん、これも1つの企業と学校の連携の在り方であり、キャリア教育である。こうした実践はいまでも続いている。しかしさらなる進化を遂げた協働の姿もある。今日では、この記事を読まれている方々の多くが想像できないほど多様な教育コンテンツが民間企業によって提供されている。教科書会社や試験提供会社はこれまでもあったが、授業そのものやカリキュラムを提供する会社がここ数年で増えきているのだ。

企業のより深い部分やビジネスの本質に出会う機会に

 次世代を担う若者育成のため、企業や地域社会が積極的に教育支援活動を行う事例が増加するなかで、そうした取り組みを評価し、表彰する場も増えている。企業や経済団体による教育支援の取り組みを奨励・普及することを目的に始まった「キャリア教育アワード」、社会全体で子どもの資質・能力の育成を実現するために学校と企業のあるべき連携を考える場として開かれている「教育CSRフォーラム」はまさにそれだ。これらは実は2011年から実施されている。

 こうした場で表彰される取り組みは、学校に対して企業が、自分たちの仕事や日常を開示し、体験を提供するような取り組みではない。例えば飲料メーカーであれば水や自然、金融業界の企業であればお金や株式、自動車メーカーであればものづくりといったように、企業のまさに本業に関わる情報や取り組みを教育コンテンツとして練り直し、学校に届けている。企業が学校に出向き、学校教育の中では決して出会えない学びを子どもたちに届けているのだ。

 そうした企業が持っているリソースを教育に活かすこと自体を支援する会社もある。株式会社キャリアリンクや株式会社教育と探求社は、企業が学校教育を行う際のコンサルティングを事業として展開し、企業による学校向け教材の開発や出前授業などを幅広くサポートしているのだ。こうした取り組みをとおして、次世代を担う若者が企業のより深い部分やビジネスの本質に出会うことは、彼らのキャリア形成に大きな影響を及ぼしていくだろう。

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