ちょいとお江戸の読み解き散歩 「ひととき」より

2018年3月21日

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牧野健太郎(読み解き) (まきの けんたろう)

ボストン美術館と共同制作した浮世絵デジタル化プロジェクト(特別協賛/第一興商)の日本側責任者。公益社団法人日本ユネスコ協会連盟評議委員・NHKプロモーション プロデューサー。浅草「アミューズミュージアム」にてお江戸にタイムスリップするような「浮世絵ナイト」が好評。

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近藤俊子(構成/文) (こんどう としこ)

編集者。元婦人画報社にて男性ファッション誌『メンズクラブ』、女性誌『婦人画報』の編集に携わる。現在は、雑誌、単行本、PRリリースなどにおいて、主にライフスタイル、カルチャーの分野に関わる。

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 「匂いおこせよ梅の花」、立派な梅の幹が大胆に描かれ、いい香りが漂ってきそうです。お江戸で人気を集め、今では世界に知られるこの梅の木の名前は何というのでしょうか。

歌川広重「名所江戸百景 亀戸梅屋敷」
Photograph© 2018 Museum of Fine Arts, Boston. All Rights reserved. William S. and John T. Spaulding Collection, 1921 21_10421

臥龍梅の立て札を探せ

左上(②)、右上(③)、左下(④)、右下(⑤)

  この浮世絵に描かれているのは、あの印象派の巨匠、フィンセント・ファン・ゴッホさんが見て、驚いて、喜んで、学んで、真似て、模写した「梅の木」です。ゴッホさんの絵は「日本趣味:梅の花」(1887)と題され、オランダはアムステルダムにあるゴッホ美術館に展示されています。そのお値段、作品の評価額はなんと30億円ともいわれている逸品です。

  梅の花がちらほら咲いています(②③④⑤)。ここは江戸っ子が愛した亀戸(かめいど)の梅屋敷、現在の亀戸天満宮(神社)から北東へ300メートルほどの場所にあった梅の名所。梅の木が約300本も立ち並ぶ、今でいうならボタニック・ガーデン、梅の植物園です。

左(⑥)、右(①)

  歌川広重さんの「名所江戸百景 亀戸梅屋敷」は安政4年(1857)の作品(①⑥)。描かれている梅の木は「臥龍梅(がりょうばい)」と呼ばれ、龍が寝そべっているような姿がその名の由縁とか(⑦)。「臥龍鳳雛(ほうすう)」の「龍」です。地に臥(ふ)していて、これから天に昇るという将来性のある縁起のいい名前です。その名付け親が、字(あざな)は「子竜(しりゅう)」、号は「梅里(ばいり)」の水戸の光圀(みつくに)さんだったとか、あの「暴れん坊将軍」の8代・吉宗さんがわざわざお城から見に来たとか、とかく逸話の多い、お江戸でも人気のあった梅の古木です。

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