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2018年2月23日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

若者の新規就農が増えている

 キンボール氏のこうした農業奨励の活動はスクエア・ルートという名前で広がっているが、そこでは「高い教育を受けた若者がデスクワークを離れ農業に従事するケースが増えている」という。過去20年のテクノロジーの発展は人々をコネクトすることに成功したが、特に米国のミレニアルと呼ばれる若い世代は「リア充」感覚を求める。都会で農業を行い、消費者と直接繋がる、という行為が非常に新鮮なものと捉えられている。

 実際に米農務省のデータによると、25-34歳の農業従事者は近年増加しており、カリフォルニアのような州でも2007年から17年までの増加率は20%を越している、という。しかもこうした新規農業従事者の69%が大学卒業の学歴を持っている。

 若者の農業の特徴はこれまでの産業化された米農業の対局、つまり「より小規模で」「農薬などは最小限」「ローカルのみで販売」という傾向が強いことだ。しかし消費者は「一度本物の味に触れれば、大量生産された野菜などを求めなくなる。根本的に味が異なるためで、違いに気付き始めている」という。

 またキンボール氏は兄同様に話題作りも上手で、現在インスタグラムで「自分のBig Green活動をサポート、インスタなどでいいね! してくれた人の中から抽選で自分のテスラモデル3をプレゼントする」と呼びかけている。なかなか手に入らないモデル3を兄から贈られたキンボール氏ならではの宣伝だ。

 米国の、そして世界の農業構造を変え、ローカルで作られた健康的な食べ物を消費者に届ける。そして若者が農業で生計を立てられる社会構造とする。キンボール氏の「食こそ次のインターネット」という壮大な試みは、人類の火星移住計画を打ち出す兄イーロン氏よりも地に足がついて実際的、と言えるのではないだろうか。

  
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