世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年3月12日

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 ティラーソン米国務長官は、2月1日から7日にかけて中南米(メキシコ、アルゼンチン、ペルー、コロンビア、ジャマイカ)を歴訪したが、それに先立つテキサス大学での演説で、中国とロシアを名指ししつつ「西半球には新帝国は不要」と厳しく批判したことで注目を浴びた。同演説の当該部分を中心に、概要を以下にご紹介する。

(iStock.com/Bullet_Chained/Dolimac/MicrovOne/Jane_Kelly)

 何世代にもわたり、米国の指導者は、ラテンアメリカおよびカリブ諸国のパートナーとの関係構築が地域の成功と繁栄に不可欠であると理解してきた。

 今日、我々は先人たちと同じ目標を共有している。すなわち、専制を排し、経済的・政治的自由を地域で推し進めることである。

 私は、自由を促進する3つの柱である、経済成長、安全保障、民主的統治に焦点を当てたい。

 中国は発展への魅力的な道を提示しているように見えるが、実際は、短期的な利益と長期的な依存を引き換えにするものだ。中国と米国の経済発展モデルの違いを考えてみるべきだ。

 中国の申し出は常に代償を伴う。中国人労働者に実施される国家主導の投資、負担の融資、持続不可能な債務だ。中国モデルは、貴重な資源を、しばしば法律と人権を無視して、自らの経済を繁栄させるために搾取する。

 今日、中国はラテンアメリカで存在感を増している。経済的手段により地域を自らの勢力圏に引き込もうとしている。

 中国は、チリ、アルゼンチン、ブラジル、ペルーの最大の貿易パートナーだ。この貿易は利益をもたらす一方、中国による不公正な貿易慣行により、これらの国々の製造業をダメにし、失業者を増やし、労働者の賃金を下げている。

 ラテンアメリカには、自らの国民の利益しか考えない新たな帝国は必要ない。中国の国家主導の発展モデルは、過去を想起させる。それが西半球の将来である必要はない。

 ロシアの存在感拡大も警戒すべきだ。民主的価値を共有・尊敬しない非友好的な体制に武器等を売っている。

 米国は、これらとは対称的である。我々は、短期的な取引で一方的な利益を求めたりしない。我々は、安全で、安心できる、繁栄した西半球を作り上げるための価値とビジョンを共有するパートナーを求めている。

 米国のアプローチは、双方が共に成長、発展、繁栄できるような、相互の利益を求める目標に基づく。それは、国際法を尊重し、相手国の利益を優先し、我々の価値を守ることにより行われる。

 我々は、共通の歴史、文化、価値の上に、より多くの機会、安定、繁栄、強力な統治を西半球にもたらし得る、途轍もない機会を持っている。

 米国は、西半球の、最も安定的で、強力で、永続的なパートナーであり続けるだろう。

出典:Rex W. Tillerson,‘U.S. Engagement in the Western Hemisphere’, U.S. Department of State, February 1, 2018

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