中島厚志が読み解く「激動の経済」

2011年2月5日

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中島厚志 (なかじま・あつし)

経済産業研究所理事長

1952年生まれ。東京都出身。東大法学部卒業後、75年日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。パリ興銀社長、日本興業銀行調査部長、みずほ総合研究所専務執行役員チーフエコノミストなどを経て現職。著書に『統計で読み解く日本経済 最強の成長戦略』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『日本の突破口―経済停滞の原因は国民意識にあり』『世界経済連鎖する危機―「金融危機」「世界同時不況」の行方を読む』(東洋経済新報社)など。

 資源価格が再び高騰している。そして、食料価格高はチュジニアやアルジェリアなど一部の途上国では暴動につながっており、足元中東産油国の政情不安定化懸念から原油価格を上昇させているエジプトでの暴動の一因ともなってしまった。

 新興国では高成長や多額の資金流入などによってインフレとバブル懸念が高まっているが、資源価格高騰はさらにその動きに拍車を掛けている。金融政策は一段と引き締めの方向を強めていて、今や世界経済をけん引している新興国経済への悪影響も心配される。

 一方、資源価格高は業績が回復しつつある日本企業にとってもマイナスだ。収益は資源価格高とデフレ双方から下押しされていて、今後も資源価格が上昇すれば雇用賃金の改善の遅れなどから景気全体への影響も懸念される。今回は資源価格の高騰を見ながら、主として米国と日本の経済金融政策に突きつける課題について考えてみたい。

資源高は深刻になりつつある

 資源価格は今般のエジプト情勢の緊迫化の前から騰勢を強めてきた。2010年後半から資源価格の上昇を見てみると、CRB商品指数の上昇率は2010年初めからでは17%あまりだったが、2010年後半からに限ってみると31%あまりとなっている(図1)。そして、銅などでは史上最高値を更新し、原油や小麦なども金融危機後の最高値を更新している。

商品別の価格上昇率
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 今回の価格高騰も2008年当時のように溢れるグローバルマネーによる投機的色彩が強い。米国の金融緩和などによる資金は新興国に向かうと同時に商品市場にも向かっていて、(図2)からは資源価格だけではなく、先進国、新興国の株価なども上昇していることが見て取れる。

リスク資産価格
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