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2018年3月20日

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中島恵 (なかじま・けい)

ジャーナリスト

1967年山梨県生まれ。新聞記者を経てフリージャーナリスト。主な著書に『中国人エリートは日本人をこう見る』『中国人の誤解 日本人の誤解』(ともに日本経済新聞出版社)、『爆買い後、彼らはどこに向かうのか?』(プレジデント社)、『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?』『中国人エリートは日本をめざす』(ともに中央公論新社)、『なぜ中国人は財布を持たないのか』(日本経済新聞出版社)、『中国人富裕層はなぜ「日本の老舗」が好きなのか』(プレジデント社)『日本の「中国人」社会』(日本経済新聞出版社)などがある。

 個人の投稿だけではない。日本に関する情報を発信するサイトなどでもお花見の話題で持ち切りだ。たとえば、上海の日本国総領事館や日本企業などが共同で情報提供しているウィーチャットの公式アカウント「日本軽奢游」でも桜の話題が増えており、開花前にチェックしてみたところ、こんなことが書かれていた。

「東京では3月上旬から、武蔵野市内で寒緋桜を観ることができます」
「多くの中国人は目黒川の桜を真っ先に思い浮かべるでしょうが、都電荒川線の面影橋付近も隠れた名所です」

 東京の上野公園や新宿御苑のように誰でも知っている名所情報はすでに中国人の間でも出回っているため、このようなマニアックな情報が有益なのだろう。

お花見目当ての中国人訪日客は
さらに激増しそうな気配

 私はここ数年、中国人のお花見に関する取材を行ってきたが、昨年ごろから強く感じ始めたのは、中国人が入手する情報の多様化、そしてマニアック化に、より拍車がかかっているということだ。

 桜だけに限らないが、昨今の中国では、ウィーチャットで情報を集めれば、海外に関することでも、かなり詳細なことまで手に入る。日本に住む中国人留学生の友だちとのやりとりや、日本に詳しいKOL(キー・オピニオン・リーダー)と呼ばれる人々の発信をフォローしているだけで、あっという間に自分も「日本通」「桜通」になれてしまう。前述したような「寒緋桜」もそうだし、静岡県の「河津桜」、福島県の「三春滝桜」などもすでに通(つう)の間では有名。名所だけでなく、地方の開花時期、「桜を窓から鑑賞できる東京都内のカフェ・レストラン」情報まで、もう彼らは知っているのだ。それほどウィーチャットには、ありとあらゆる情報があふれている。

 そんなSNSの恐るべきパワーも後押ししているのか、中国メディア「彭湃」によると、今年の3~4月にかけて日本にやってくる中国人観光客は過去最高の約60万人に達し、消費総額は約80億元(約1348億円)に上るという。中国最大の旅行会社、シートリップがまとめた中国の国内外でのお花見トレンド情報によると、3月になってから「日本+桜鑑賞」などの検索件数が前月比で4倍に増えており、3月下旬から4月下旬にかけて、お花見目当ての中国人の訪日客が激増しそうな気配だ。

 中国では4月上旬に清明節(今年は4月5~7日)という3連休あるが、日本と学校制度が違うので、子どもたちは3月は春休みではない。むろん、仕事も平常通りだが、「せっかくだから会社を休んで日本にお花見に行きたい」という人が少なくないということだろう。

 ちなみに、日本政府観光局が発表した昨年(2017年)の中国人月別訪日客数を見ると、突出して多いのは、夏休みシーズンの7月と8月で、3月と4月はどちらかというと多くなかった。2月の春節にたくさんお金を使い、3月は休日が少ないということも関係していると思われるが、どうやら今年は様相が異なるようだ。

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