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2018年3月20日

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中島恵 (なかじま・けい)

ジャーナリスト

1967年山梨県生まれ。新聞記者を経てフリージャーナリスト。主な著書に『中国人エリートは日本人をこう見る』『中国人の誤解 日本人の誤解』(ともに日本経済新聞出版社)、『爆買い後、彼らはどこに向かうのか?』(プレジデント社)、『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?』『中国人エリートは日本をめざす』(ともに中央公論新社)、『なぜ中国人は財布を持たないのか』(日本経済新聞出版社)、『中国人富裕層はなぜ「日本の老舗」が好きなのか』(プレジデント社)『日本の「中国人」社会』(日本経済新聞出版社)などがある。

「季節限定」のレア感、
「桜=日本」というイメージが広まる

 中国に住む友人たちに、なぜそんなに桜が見たいのか、素朴な疑問を投げかけてみた。すると大きく分けて2つの回答が返ってきた。ひとつは時期モノというレア感だ。

 「やはり、“季節限定”というところが中国人の心をくすぐるし、ポイントでしょう。この時期しか見られないものですから、何としても見に行かなくちゃ、という感じ。しかも1週間くらいしか咲かないので、何度か日本に来ていても、タイミングが合わなくてまだ自分の目で桜を見ていない人もいます」(上海在住、20代の男性)

 2つ目は桜=日本という強いイメージが、以前よりも多くの中国人に伝わってきたことだ。

 「桜、富士山、ラーメンの3つは以前から日本のイメージでしたが、最近では生活に余裕が出てきたせいか、中国国内でも“お花見”を目当てに旅行する人が増えました。たとえば内陸部の農村に行って菜の花畑で自分の写真を撮るとか。桃や梅のお花見に行くとか。北京や上海、武漢にも桜の名所があり、それらに関する報道も増えてきたのですが、それなら、桜の本場、日本にも行って、ぜひ『日本の桜』を見たいと思うようになったのではないでしょうか」(杭州在住、50代の女性)

 これらに加え、同僚が行くなら自分も行く。親戚が行ったのだから、自分だって行かなくちゃ、という横並び意識が彼らの間にあることも関係しているのではないか、と感じている。

 ちなみに、桜の季節になると、日本の百貨店や専門店でも桜をモチーフにした和菓子や洋菓子、桜を描いたピンク色のパッケージの雑貨、化粧品などが次々と限定販売される。日本人にとっては毎年見かける光景であり、春を感じさせてくれるものだが、ある在日中国人の友人は大手コーヒーチェーンで販売していた桜のデザインのマグカップをたくさん買い、4月に中国に帰省するときのお土産にするのだと話していた。限定商品は他のプレゼントよりも喜ばれるのだそうだ。この話を聞いて、私は「なるほど」と思わせられた。越境ECなどで日本製品は常に人気だが、今後は季節限定で発売される商品の需要も高くなってくるのではないだろうか。

 桜といえば日本。日本といえばやはり桜なのだ。中国人のお花見ブームはまだしばらくの間、続きそうだ。
 

  
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