世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年3月29日

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 ホワイトハウスによると、同じ3月8日、トランプ大統領は安倍総理と電話会談を行い、ペンス副大統領も北朝鮮問題に関する声明を出している。翌3月9日には、トランプ大統領は中国の習近平総書記とも電話会談をしている。それについて、トランプ大統領は、自身のツイッターの中で、習近平総書記と「長く」話し、「中国は今後も協力してくれる。」と記述している。

 2月の平昌オリンピックが閉幕するや否や、韓国の鄭義溶大統領特使は、3月5日、北朝鮮で金正恩に会見した。そして、その内容をもって訪米しトランプ大統領と3月8日に会っている。その時の発表が上記で紹介したものである。その後、平昌パラリンピックが3月9日に開幕するが、3月12日には、鄭義溶大統領特使は、中国の人民大会堂で習近平と会談している。さらに、翌13日には、ロシアに赴き、ラブロフ外相と会談している。すなわち、鄭義溶大統領特使は、10日以内に、北朝鮮、米国、中国の首脳と会い、ロシアの外相と会っている。彼は、日本には来なかった。日本には、彼の代わりに、徐薫(ソ・フン)韓国国家情報院長が来て、北朝鮮問題についての説明を安倍総理に行った。

 単に「メッセンジャー」であると言うこともできるが、上記の流れからは、鄭義溶大統領特使は、今回の北朝鮮問題の「キー・パーソン」であることは否めない。その彼が、北朝鮮の非核化を話し合う「6か国協議」の参加国のうち、日本だけに来なかったことは注意する必要があるかもしれない。 

 鄭義溶特使は、相当のタフ・ネゴシエーターらしい。2017年夏、THAADの配備問題で、米韓関係がぎくしゃくした際には、米国を訪問し、マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)の自宅まで行き、6時間にわたって韓国の状況を説明したとも言われるほどだ。上記の発表の中で、マクマスターのことを「親友」と呼ぶのも、そのような背景があるのかもしれない。

 それにしても、4月末に南北首脳会談、5月に米朝首脳会談という早い流れは、この「キー・パーソン」を始めとする水面下の交渉が一気に進んだことを意味する。もちろん、米国は、北朝鮮の言動が一致しなければ応じないと、条件付きではあるし、制裁も継続するとしきりに言うが、大きな転機が来ていることは疑いない。

 その中で、日本はどうするか。強固な日米同盟を目に見える形で、北朝鮮問題に生かすことが重要である。日米の連携が、北朝鮮の核・ミサイル・拉致問題の包括的解決に至ることを、少しでも明らかにできると良いだろう。その意味で、4月に予定されている安倍総理の訪米の意義は大きい。

  
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