世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年3月30日

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 憲法に新たに盛り込まれた概念で、もう一つ注視すべきものに「人類運命共同体」がある。中国は、「人類運命共同体」の理念を掲げて国際的な秩序の変革に主導的に取り組もうとしている。習近平は、昨年の第19回党大会で、この概念についての説明として、次のような点を挙げている。相互尊重・平等な協議、冷戦思考と強権政治の放棄、同盟の代わりにパートナーを組む、対話による紛争の解決、貿易と投資の自由化・円滑化、経済のグローバル化、文明の多様性尊重、環境保護・気候変動への対応。これらのうち、冷戦思考の放棄、同盟の代わりにパートナーを組む、といった点は、米国を中心とする同盟ネットワークへの異議と思われる。相互尊重は、内政不干渉の名の下、中国の主張を尊重するよう求める文脈で用いられることが多いことに留意する必要がある。

 第19回党大会での報告において、習近平は、「中国の特色ある大国外交は、新型国際関係の構築を推進し、人類運命共同体の構築を推進する」としている。すなわち、「人類運命共同体」は、中国による大国外交と密接な関係がある。現行の自由主義、民主主義、人権、法の支配に基づく国際秩序に代わる、新たな国際秩序の構築を目指すものである可能性がある。

 インド太平洋に面する主要国、日米豪印は、連携を強化して軍事的抑止力を高める必要がある。西側諸国は、自由主義、民主主義、人権、法の支配に基づく国際秩序を擁護し、中国主導の国際秩序の構築に対抗しなければならない。こういう重要な時期に、米国の政権が、自らが構築、維持してきた国際秩序を軽視しているような事態は、憂慮しなければならない。


  
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