前向きに読み解く経済の裏側

2018年3月26日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

 老後資金で圧倒的に重要なのは、公的年金です。今回は、『老後破産しないためのお金の教科書』の著者である塚崎が、公的年金の重要性と心構えを説きます。年金制度の基本的な枠組みをご存知ない方は、本稿を読む前に拙稿「年金制度について15分で学ぼう」をご覧いただければ幸いです。

(maxsattana/iStock)

標準的なサラリーマン夫婦は月額22万円

 年金は、標準的なサラリーマン夫婦は月額22万円受け取れます。現役時代の年収により、支払う保険料も受け取る年金額も異なりますので、これは年収約500万円で40年間働いたサラリーマンと、その専業主婦の場合の金額です。

 日本人の平均的な生活費は1人1カ月10万円弱ですから、暮らせない額ではありません。多少の不足分は老後のための貯蓄を取り崩すとしても、サラリーマンの老後の生活資金の圧倒的に重要な柱が公的年金であることは疑いのない所です。

 サラリーマンは、年金保険料が給料から天引きされるので、未払いとなっている可能性は大きくありませんが、専業主婦については働いていた期間などがきちんと年金の記録に残っているか、確認が必要でしょう。

自営業者夫婦の年金は月額13万円。手続き漏れ等に要注意

 自営業者の年金は、サラリーマンほど充実していません。40年間夫婦2人が年金保険料を払い続けても、老後の年金は夫婦2人で13万円程度です。これでは生活できませんから、高齢になっても元気な間は働くことが重要ですし、若い時から老後資金をしっかり貯めておくことも大切ですね。

 自営業者は、自分で年金保険料を納めに行く必要がありますから、納付漏れがあるかもしれません。納付漏れについては、後から納付する制度もありますが、完全ではないので、納付漏れをしていると老後に受け取れる年金額が減ってしまいかねません。しっかり納付するようにしましょう。

 特に問題が起きやすいのが、自営業者の妻が途中で働きに出て、一定以上の年収を稼いでいた場合です。その間は厚生年金保険料を支払っていたでしょうから問題ないのですが、仕事を辞めたり年収が減って保険料の天引きがなくなったりすると、今度は自分で申告して国民年金保険料を払いに行かなくてはなりません。その手続きを怠っていると、知らない間に年金支払いを怠っていたことになりかねません。

 専業主婦の場合、夫がサラリーマンをやめて自営業者(または失業者)になると、自分も年金上の身分が変わりますから、届け出をして年金保険料を納めに行く必要がありますので、これも注意が必要です。

年金保険料の支払い実績は「ねんきん定期便」で確認

 上記のように、手続き漏れなどによって支払うべき年金保険料を支払えていない場合や、自分が手続きをしても、年金事務所が手続きを誤っている場合(いわゆる消えた年金問題)などもあり得ます。そうなると、老後に受け取れる年金が減ってしまいます。老後資金の最大の支えである年金が減ってしまっては大ごとですから、年金保険料の支払い記録はしっかり確認しておきましょう。

 確認するために便利なのは、年に一度誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」です。これには、今まで何カ月間年金保険料を支払ったのかが記されています。サラリーマンの専業主婦は、夫が厚生年金保険料を給料から天引きされた事で自分も国民年金保険料を支払ったことになるので、その期間も記されています。

 加えて、50歳以上の場合には、「今のままの所得が60歳まで続いたと仮定した場合に将来受け取れる年金の見込み額」も記されているので、将来の生活の見当をつけるのに便利です。

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