イノベーションの風を読む

2018年4月1日

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川手恭輔 (かわて・きょうすけ)

コンセプトデザイン・サイエンティスト

1990年代から、大手メーカーでインターネットサービスの企画・開発・運用を手がけ、自ら立案したグローバルなサービスを複数立ち上げた経験を持つ。その1つは、サービスのデザインでグッドデザイン賞を受賞した。コンピューターサイエンス関連の翻訳本も多数ある。

 このカメラは、撮った写真をクラウドにアップロードする必要がないんだ。だってメモリーカードに記録するんじゃなくって、初めからクラウドに記録してしまうんだから。通信だって? そんなことは気にする必要はないよ。

 撮ってすぐに共有したい写真は、スマートフォンのカメラに任せておこう。このカメラは、ずっと残しておきたい大切な写真を撮る時に持っていってほしい。まあ、写真はクラウドにあるから、共有すことも簡単だけどね。

 でも、一番大切なことはまだ話していない。

 どんなにいい写真を撮ることができたとしても、そして、その写真を簡単にクラウドに置けたとしても、それだけだったらいままでのデジタルカメラと大した違いはない。

 いままでのカメラは、写真を撮ることだけにフォーカスした、単なるモノだったんだ。写真というファイルをつくるモノだったんだ。クラウドに記録するって言い方もやめようと思う。どこに記録するかが問題なのではなくて、いつでもどこでも写真を見て楽しむことができればいいんだから。

 僕たちは、ファイルをつくるモノをつくったんじゃない。みんなが忘れかけている大切な写真の価値を取り戻すための新しい体験をつくったんだ。

 僕は昔、携帯ミュージックプレイヤーをつくった理由を「音楽は人々の人生の一部だから」って言ったけど、写真もみんなの人生の一部だよね。このカメラがタイムラインに記録した写真が、人々にどんな体験を提供するのか、このビデオを見て欲しい。

 (ビデオには、家族で過ごした時間の写真が家族全員で共有されて会話が始まったり、自分の幼い頃の写真が並んだタイムラインを両親からプレゼントされたり、亡くなった祖父のタイムラインを家族に引き継がれていくといったシーンが描かれている)

 今日は4月1日。こんな「カメラ」があればいいなと、妄想してみた。

  
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