世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年4月13日

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 北朝鮮問題でも慎重で現実主義者だったマクマスター氏に対して、後任のボルトン氏は、タカ派中のタカ派と言われる。イランや北朝鮮に対しての軍事攻撃、いわゆる先制攻撃も辞さないと主張する。この点、ティラーソンの後任のポンペオ氏も強硬派と言われているので、今後、トランプ政権の外交政策は、おそらく強硬姿勢に傾いて行くのだろう。 また、ボルトン次期安全保障担当補佐官は、多国間主義、国連、国際条約等に懐疑的であり、国際協調を求めるよりも、トランプ大統領が唱える「アメリカ第一主義」を標榜している。そういう観点では、トランプ大統領とは通じ合う仲らしく、当初、トランプ大統領は、ボルトンを国務長官に任命しようとしていたとも言われる。

 ただ、ボルトンを嫌うものは各国の外交官の中のみならず、ワシントンの政治・外交コミュニティーにも多い。それゆえ、前回、ボルトンが国連大使に任命されたのは、休会中の任命で、議会の承認を経ずして大使に就任した。国務長官では、議会の公聴会を経て承認が必要だが、大統領補佐官の就任には、議会の承認が不要である。それで早速、ボルトンは4月9日には、ホワイト・ハウス入りを正式にする。このボルトンの国家安全保障担当補佐官への就任に関しては、3月23日付のニューヨーク・タイムズ紙の社説が痛烈に批判しているが、同日付のウォールストリート・ジャーナル紙の社説は、ボルトン氏は経験豊富であると擁護している。

 が、冒頭に記した3人の辞任・解任は、現在の国際情勢の下では、どうしても懸念される。戦術的で、ともするとその場しのぎのトランプ大統領と、それを支えるポンペオ次期国務長官とボルトン次期安全保障担当補佐官。一方、現実的で慎重派、時に国際協調派のケリー首席補佐官とマティス国防長官。ボルトン氏は、マティス長官には会ったことがないとインタビューで答えているが、マティス長官はトランプ大統領にマクマスター氏を留任させるように言ったとの報道もある。そうなると、マティス氏やケリー氏の今後はどうなるのか。次の退任劇の対象は誰か、既にワシントンでは噂が流れている。ブッシュ(父)政権のイラク侵攻をボルトンは支持しているが、当時、戦争に慎重であったのが、パウエル国務長官である。彼は軍人で、部下の命を賭けることには慎重にならざるを得なかった。マティスとケリーも軍人である。どこまで政権に踏みとどまり、影響力を行使できるか。

 鉄鋼・アルミニウム始めその他の品目にも高関税をかける米中貿易戦争が始まった。ただ、北朝鮮に対する攻撃やイラン問題の再発が起これば、それどころではなくなるかもしれない。かつてネオコンが始めたアフガニスタンとイラク戦争がそうだった。それから、もう一つ気になるのが、トランプ大統領のセクハラ疑惑である。これをカモフラージュするために、戦争に訴えることは許されない。
  
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