WEDGE REPORT

2018年4月10日

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Q: 機構改革で新たに国家国際発展協力署を置くのには、どういう意味があると考えるか

 これまで一帯一路の業務が各役所に分散していたのをまとめるという意味もあるだろう。一方で、中国の国際支援は分かりにくいという指摘が長年なされてきたことへの対応の面もあると考える。

 中国はOECDに加盟していないため、OECDで政府開発援助(ODA)がいかにあるべきかを定めた開発援助委員会(DAC)ルールの枠外にある。また、国際支援は商務省に加え、中国輸出入銀行が商業ベースの融資もしつつ、優遇借款の貸し付けもしている。国際支援について、日本ならJICA、米国はUSAID(米国国際開発局)といったように、通常は一つの機関に集約されているが、中国はそうではなかった。援助について一元的にみる機関が他国と違ってなかったので、それをようやく作った結果が機構改革になったのではないか。

Q: 中国は日本にどういう役割を果たしてほしいと考えているのか

 ここ2年ほどで、JBICは中国の国家開発銀行からぜひ第三国でさまざまな協力をしたいと相談を受けるようになり、2017年3月には国家開発銀行との間でMOUを結んだ。第三国で日本企業と中国企業が組む例がインフラ案件を中心に増えており、それを協調して支援していくというのが念頭にある。今は意見交換をしている段階だ。インフラ案件向けの融資におけるリスク分析や金融法務、ソブリン審査手法に関する情報交換、互いに関心を持っている第三国のプロジェクトや経済の見通しといったことについての意見交換をしている。

 2000年代初頭から、コストを考慮して、日本の商社が韓国勢や中国勢と組むケースが増えている。たとえば、電力事業に日本の商社が出資し、中国のタービンやボイラーを使うといった具合だ。こうした案件は今後増えていくだろう。

日中間のハイレベル会合に期待

Q: 日本政府に期待したいことは

 私見だが政府間でのハイレベル会合の開催を期待したい。EUでは「EU・中国コネクティビティ・プラットフォーム」という対話の場があり、EUと中国の大臣級が出席して一帯一路の交通プロジェクトやインフラの連結プロジェクトに関して意見交換したり、どう協力できるか情報交換するという流れを立ち上げている。日本においても参考となる面があると考える。

 第三国での日中企業が協力するという構想を政府はまとめているが、フランスは中国の政府系金融機関と共に共同ファンドを立ち上げて、第三国でのプロジェクトや投資活動を一緒に実施している。このような協調のケースも参考になるのではないか。

 中国が日本をどう見ているのかということも考えた方が良いだろう。一帯一路への協力を後押しする方針を日本政府は示しているが、そのためには中国側との具体的な意見交換が欠かせない。たとえばEUの場合、中国へのアプローチ方法について、この問題では譲らない、この問題では中国の台頭を歓迎するとホームページ上で明記している。日本の場合、様々な人々が様々な観点から発信することで結果的に、意図せざるメッセージが中国に伝わってしまうことがあるのではないか。そのような意味で、私見にはなるが、中国は隣国なので、日本は中国との関係を長期的なゲームとしてとらえる視点は必要なのではないか。例えば、ゲーム理論の応用で、相手がよい行いをした場合はリワード(報酬)を与えて、悪いことをしたらパニッシュメント(罰)を与えるTit-for-Tatという方法が、日中関係の長期的安定を図る上でも参考になるのではないかと考えている。

 アジアインフラ投資銀行(AIIB)に関して言うと、インフラの建設時などに国際的なルールを取り入れて、ホームページ上で公開もしていて、現時点では、世界銀行やアジア開発銀行(ADB)と遜色ない形でやっている。しかも案件は世界銀行やADBとの協調融資が主だ。今のところ個別案件でAIIBのガバナンスに問題があるために問題が生じたというケースはない。

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