使えない上司・使えない部下

2018年4月12日

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5375万円の借金が残ったのです、36歳のときでした

 その後、私はある男性からの投資話に騙されたのです。話は、男性の経営する会社に投資をすれば、高い年利で利息を月払いするものでした。それを信じた私はお金持ちの知人たちに、「男性が経営する会社に、私が経営する会社を通じて投資をしませんか?」と誘い、何人かが投資をしてくださったのです。
 
 当初は男性から知人たちにお金が毎月振り込まれていましたが、2007年末にそれが止まったのです。男性に確認をすると、会社の経営がゆきづまったようなのです。男性は妻子を残し、姿をくらました。私は困り果て、警察にも相談をしましたが、解決にはいたりませんでした。私のもとには、知人たちが投資したお金の合計5375万円の借金が残ったのです。36歳のときでした。

 一時は放心状態になっていたのですが、自分が働いて返すことをあきらめたくなかったです。自己破産を卑怯な逃げと思っていました。そこで、ファイナンシャルプランナーの江上治が経営する(株)オフィシャルで働くことにさせていただきました。

 以前から、業務委託で(株)オフィシャルから仕事を請け負うことがありました。生活が苦しかったから、まずは正社員としての固定給を欲しかったのです。江上に無理を言い、入社させていただいたのですが、これまでのいきさつを言えずに、嘘をついたりして隠していました。

 ところが、職場に前述の知人から電話が入り、すべてを説明せざるを得なくなったのです。事態を察した江上が駆けずり回り、会社として一部を肩代わりしてくれました。私は働いて、少しずつ返していくことになりました。

いつも逃げの姿勢だ、いざとなれば結婚という逃げ場があるからだ

笠井裕予さん

 江上は、ファイナンシャルプランナーとして頭角を現し、業界の第一人者と言われていました。特にはじめの5年間は、ものすごく厳しく教えられました。午前7時から夜の12時までくらい、仕事をするのです。徹夜をするときもありました。頻繁に怒られたり、怒鳴られたりします。その頃、言われたのが、この言葉だったのです。

 「君のように、女性の多くは人生に向き合うことをしない。仕事に、本気で向き合おうとしない。いつも逃げの姿勢だ。潜在的に、いざとなれば結婚という逃げ場があるからだ。だが、何かに依存しているうちは、いつまでも自立できない。
だから、苦しくなるのだ」

 言われたときは、カッーと腹が立ちました。だけど、本質をついていると思います。結婚すれば…という思いが、私には多少なりともあったのです。

 その頃、東日本大震災が発生し、1カ月過ぎた頃のミューティングで、江上が父親のことを話しました。江上の父は会社を経営していたのですが、経営難に陥り、お金を借りて危機をしのいでいたようです。借金は2億円ほどになり、最後は自殺をされたようなのです。5年間経ってはじめて聞かされました。江上が怒鳴りながら、必死に私を育て上げようとしたことの意味がようやくわかり、胸がつまり、涙があふれ出てきたのです。

 その日以降、江上の厳しい一言ずつを素直に聞くことができるようになりました。江上への思いが変わると、しだいに私の目の前の状況が変わってきたのです。セミナー講師や講演依頼が来るようになりました。

 私は自らの経験を踏まえ、女性も仕事を続けて、経済的に精神的に自立できるようになるべきと考えています。一時期は、結婚や出産などで仕事から離れることがあったとしても、可能ならば何らかの仕事をして収入を得たほうがいいと思います。

 ファイナンシャルプランナーとして多くの方から、保険商品や資産運用などお金に関わる相談を受けます。結婚生活に幸福感を感じていると思える女性はまずは、ご自身が精神的に、経済的に自立しているのです。

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