栖来ひかりが綴る「日本人に伝えたい台湾のリアル」

2018年4月16日

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栖来ひかり (すみき・ひかり)

台湾在住ライター

京都市立芸術大学美術学部卒。2006年より台湾在住。日本の各媒体に台湾事情を寄稿している。著書に『在台灣尋找Y字路/台湾、Y字路さがし』(2017年、玉山社)、『山口,西京都的古城之美』(2018年、幸福文化)、『台湾と山口をつなぐ旅』(2018年、西日本出版社)がある。 個人ブログ:『台北歳時記~taipei story』

「女子力の高さ」が台湾ではそれほど歓迎されないワケ

 こと女性に関して、この網はさらに入り組んでいる。筆者も昔、日本の職場の上司から「手鏡ちょっと貸して、お前も女なんだから、鏡ぐらい持ち歩いてるよな」と言われたことがあるし、化粧の仕方から立ち居振る舞い・気づかいに至るまで、女性として「こうあるべき」との要求はまことに多い。

 また女性自身も、振り分けられた役割を無自覚・無批判のうちに受け入れるどころか、まわりにも同じように押し付けたり強化したりする傾向があるようで、網は二重三重の複雑さを帯びている。

iStock.com/aklionka

 台湾に来て間もないころ、こんなことがあった。カフェの店員さんに「先生(男性を呼ぶときの敬称)」と声をかけようとすると、台湾人の家人にたしなめられた。「ちょっと!あれ女の子だよ」――髪を短く刈り上げ、化粧はせず、恰好も振る舞いもいかにも男の子という感じ。言われてみれば少し線の細い感じはするが、何しろ男性と思い込んでいた私はぎょっとした。

 それ以降、台北の街のいたるところに、そういったボーイッシュ(英語でいえば「tomboy」)な女の子達が居る事に気が付き、自分のなかに巣食う固定観念(ジェンダーステレオタイプ)にハッとさせられたものだ。

 ちなみに日本人的感覚では、こうした女の子=レズビアンと思いがちだが、必ずしもそういう訳でなく、単にそういうスタイルが好きということも多い。化粧しなくても、してもいい。セクシーなスタイルが好きな女の子もいるし、ミニスカートを履いて溌剌と歩く還暦を越えた女性だって沢山いて、ここの女性たちに「年甲斐もなく」や「女の子なんだから」という言葉は無縁だ。

 料理や家事に長けているとか、もてなし・化粧上手といった「女子力が高い」ことも、台湾では日本ほどに歓迎されない。逆にお嫁に行った先で良いように使われるから不要とか、経済的に余裕があれば外食やハウスキーパーを雇うことで補う事が可能という考え方さえあり、女性の「美点」として数えられることは少ない。日本で成長するなかで「そういうものだ」と思いこんでいたが、台湾にきて「そうでもないな」と気付いたことは、他にも挙げればキリがない。

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