したたか者の流儀

2018年4月20日

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パスカル・ヤン (Pascal Yan)

著述家

著述家。ルーヴァン・カトリック大学大学院中退(ベルギー)。証券マンとして25年間、欧州を中心に海外で過ごす。現在の職業は都内大学教授。

 

 ところで、その同日開催は総会屋から身を守るすべではあるがその一方で個人株主形成をうたっていながら、数銘柄の株式を保有する個人投資家の総会出席の可能性も排除してしまうことにもなるのだ。

 最近のデータでは、29日など集中日を選ぶ企業は3割となっているが、その前後数日だけで9割の企業が総会を開いているようだ。

 既に、大株主との対話は終わっているので、個人株主などにかまけていられないということであろうか。

 3月決算企業は3月31日を基準日として、90日以内に株主総会を開く必要があると規定されている。したがって、6月末には期日が来てしまうので、この頃に総会は集中してしまうのは道理でもある。

 しかし、1000分の1秒で株式保有者が移動する時代に、90日前の株主が勢揃いして役員改選や決算の承認などを行うのを見るにつけ釈然としない気がする。

 会社の経営に対して株主権を行使して、多数を争うプロキシーファイトは、和をもって貴しとなす日本の企業ではあまり例をみなかったが今後はわからない。

 それも、企業同士の持ち合い株があったので、仲間内で票がよめることになるからだ。ところが、最近の調査では持ち合い解消がすすみ、10%程度まで減少しているとの報告もある。

 日本企業の得意技であった、持ち合いが消えてしまい外人持ち株が存在感を示すと、個人投資家の保有分が大きな力を示す時が来るであろう。

 しかし、今の制度、すなわち期末から90日で開かれる株主総会では、個人投資家は議決権行使書を持って総会に現れ会社の議案を判断することになるが、既に株式は売却済みとなっている場合が大いにあり得る。

 もちろん、長期保有をすすめているが、売却は自由である。経営の重要な判断を90日前時点での株主にゆだねるのはいかがなものであろう。海外では、最新の株主名簿での総会をめざしている。世は既にナノセカンドの時代であるから。

  
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