赤坂英一の野球丸

2018年4月25日

»著者プロフィール

 今年のパ・リーグのペナントレース、西武が近来稀に見る勢いで快進撃を続けている。開幕から8連勝して首位戦線を走り、18日の日本ハム戦ではなんと八回0−8から奇跡的な逆転サヨナラ勝ち。八、九回の終盤2イニングで8点差を引っ繰り返した勝利はプロ野球史上初のことだ。今週は17日火曜からソフトバンクとの首位攻防戦と、序盤の天王山に臨んでいる。

(Nosyrevy/iStock)

 そうした目覚ましい躍進の裏側で、球団は新たに大がかりなプロジェクトを着々と進めている。地域振興と社会貢献を目的として、東京オリンピックの行われる2020年までに埼玉県の全市町と連携協力関係を締結しようというもの。開幕前の3月7日、球団買収と福岡市から所沢市への本拠地移転40周年を記念して発足した地域コミュニティ活動『L-FRIENDS(エルフレンズ)』である。

 このキャンペーンの一環として、オープン戦中だった同月16日、選手会長の増田達至をはじめ、十亀剣、高橋朋己ら投手3人が所沢市立小手指小学校を訪問。この新規事業のために製作したライオンズのオリジナル・キャップを児童に手渡しで贈呈した。さらに、埼玉県内の小学校などに通う子供たち約30万人にも帽子を配布している。

 これ自体はソフトバンク、日本ハム、DeNA、広島など、地方都市をフランチャイズとする球団がどこでも行っている地域振興である。極めて地道な活動であり、地元市民には喜ばれるが、マスコミに大きく報じられることは滅多にない。が、西武は球団広報部の尽力もあって、初っ端の小学校訪問イベントの模様を翌日の朝、NHKニュース『おはよう日本』の全国枠で放送してもらうことに成功した。朝6時半過ぎ、登校前の子供たちや保護者がライオンズの選手と小学生が触れ合う場面を見たわけで、このインパクトは決して小さくなかっただろう。

 開幕後の4月になると、帽子を贈呈された所沢市立南小学校4年生(贈呈された3月は3年生)142人から、選手たちに充てたお礼の寄せ書きが贈られた。球団広報部ではそうした小さなニュースも公式ホームページなどを通じて発信、その成果なのか、「最近では所沢市内を歩いていても、ウチの帽子をかぶっている子供が増えたような気がします」と、地元在住の球団職員は手応えを語っている。

 そうした地域サービスと並行して、西武は様々な市町と「連携協力に関する基本協定」を次々に締結している。これは各市町の持つ資源、及び西武の選手や施設など球団の財産を有効に活用し、協働して新規事業に取り組むことを通じて、地域社会の発展や市民福祉の向上に寄与することが目的だ。協定を締結した市町は西武の「フレンドリーシティ」として認定される。最近では深谷市、桶川市、鴻巣市がこのメンバーに加わり、全63市町のうち26市町がフレンドリーシティとなった。

 球団広報部によると、今年はチームが強いこともあってか、当初予想していたより早いペースで連携締結が実現しているという。6月中に全63市町の半分、そしてシーズン終了までにはさらに多くの市町が「フレンドリーシティ」になる見込み。西武が優勝すれば、そうした各地域でファンサービスや福祉活動が行われる予定で、単なる地元チームの優勝を越えて、全県的なイベントになる可能性も秘めている。

関連記事

新着記事

»もっと見る