世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年4月30日

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 この点は、日本としては極めて重要な問題である。かねてより、米朝間でICBMの撤廃のみ合意され、日本に到達し得る中短距離ミサイルが残存することで、日米間で北朝鮮に対する安全保障上の利害が一致しなくなることが懸念されてきた。4月20日、朝鮮労働党は、核実験とICBMの発射実験を中止し、豊渓里の核実験場を廃棄するとの決定書を採択した。同時に行われた金正恩による報告では、ICBMと中長距離ミサイルの実験中止を言っているが、中長距離ミサイルというのはグアムに到達し得る「火星12」(射程5000km)や「北極星2型」(同2000km)を指すものとみられる。4月20日の日米防衛相会談では、米国が米朝首脳会談で中短距離ミサイルを含む全ての弾道ミサイルの廃棄を北側に求めることが確認された。しかし、ポンペオの発言やトランプ大統領のこれまでの突発的な言動を考えると、やはり懸念は払拭しきれない。

 北が米朝首脳会談に応じるに至った背景については、日米とも、「最大限の圧力」が功を奏したとするのが公式見解である。しかし、核実験の中止、ICBM等の発射実験の中止は、北朝鮮としては十分な能力を獲得できたので不要になっただけである可能性は排除できない。つまり、北朝鮮が米朝首脳会談に応じるのは、十分な力を背景に会談に臨むことができるようになったためであるという可能性もある。もちろん、「最大限の圧力」は適切であり、今後とも継続すべきものであるが、米朝首脳会談に過度の期待をすべきではないように思われる。

  
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