2024年4月25日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年5月1日

 日米首脳会談後の記者会見と言っても、上記のようなトランプ大統領の発言は、「アメリカを再び偉大にする」(MAGA)と演説した大統領選挙を彷彿させる。労働者層の支持を受けて大統領に当選したトランプは、その期待に応えていることをアピールするのに必死である。

 実は、今、トランプ大統領の頭の中は、今年の11月6日に投票日を迎える米国議会の中間選挙のことでいっぱいなのである。とにかく、トランプ政権の成果を国民に訴え、勝利に導きたい。既に、今年の始めから、トランプ大統領は、地方遊説を始めている。では、何故、トランプ大統領にとって、中間選挙は、それほどまでに重要なのか。

 トランプ大統領がやりたいことを成し遂げるのに、議会は不可欠な政治機構なのである。インフラ投資政策を実行するにしても、国防費を増額するにしても、予算権限は議会にある。まして、上記に掲げた関税法や通商法も、議会の権限である。さらに、大統領の指名職のうち、1212人は、上院の承認が必要である。すなわち、トランプ大統領の人事権の一部も議会に握られている。今回、トランプ大統領は、ポンペオCIA長官を、ティラーソンの後任として次期国務長官に指名したが、その正式就任は上院の承認が済んでからとなった。

 現在は、上下両院とも、過半数を与党共和党が取っているが、11月の中間選挙では、上院100名のうち35名が改選、下院は435議席全てが改選となる。上院改選議席のうち、共和党は9議席が改選なので、おそらく上院では共和党が過半数を制すことができるのではないかと言われているが、下院では共和党の過半数獲得は相当厳しいと言われている。トランプ大統領は、ロシア疑惑やセクハラ疑惑も抱えていて、議会が野党に牛耳られて場合は、個人的にも窮地に追い込まれる可能性もある。

 その影響からも、今後しばらくは、日本に対しても、特に経済分野では、厳しい態度で臨んでくることを覚悟しなければならない。

  
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