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2018年4月27日

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北朝鮮の最高指導者、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、27日に軍事境界線上の板門店で開かれる南北首脳会談に、腹心や助言者などの側近グループを同行させているとみられる。

韓国政府は、北朝鮮からこれほどまで高位の代表団を迎えたことは初めてだとしている。南北首脳会談が開かれるのは3回目だが、今回の会談はドナルド・トランプ米大統領と金委員長との米朝首脳会談の前奏曲ともなる。現職の米大統領が北朝鮮の指導者と会談するのは過去に例がない。

金氏が未知の外交的水域に臨むにあたって最も信用しているのは、誰なのだろうか?

金与正(キム・ヨジョン)――権力を強める金氏の実妹

金委員長の基本計画における金与正(キム・ヨジョン)氏の重要性は、今年初めに韓国の平昌で開かれた冬季五輪で金与正氏が代表団の一員になったことで明確になった。平昌五輪は一連の緊張緩和の出発点といえる。

この時、金与正氏は北朝鮮指導者の肉親として朝鮮戦争が1953年に停戦して以来初めて韓国を訪問した人物だと考えられた。

金与正氏は北朝鮮における人権侵害との関連を疑われ、米国の経済制裁対象者リストに載ったままだが、韓国の大統領や高官には変わらずもてなされた。

冬季五輪で金与正氏は、北朝鮮指導部の友好的姿勢を象徴する存在となった。韓国メディアは同氏のそばかすや衣服を分析し、同氏が妊娠しているのではないかと推測した。

しかし、北朝鮮政府内での同氏の権力は過小評価されるべきではない。専門家は、金委員長が下した多くの冷徹な決断は、おそらく金与正氏が支援してなされたと語っている。

金泳南(キム・ヨンナム)――粛清の生存者

現在90歳の金泳南(キム・ヨンナム)氏は、そのキャリアを通じて3代全ての北朝鮮指導者による統治を見届けてきた。

金委員長と異なり、金泳南氏は世界各国を公式訪問してきた。昨年夏にはハッサン・ロウハニ大統領の2期目となる就任式に出席するためイランを訪問した。

金泳南氏の指導者に対する忠誠心は疑いなく、何人かの専門家は同氏の粛清を行きぬいた能力は見事なまでだと指摘する。

韓国の聯合ニュースは脱北者の話として「彼は間違いを犯さない。それが政治的粛清が一般的な国でその高い地位を維持できた理由だ」と伝えた。

崔輝(チェ・フィ)――北朝鮮の文化の親玉

北朝鮮のスポーツ相を務める崔輝(チェ・フィ)氏は、国営メディアへの出演や写真撮影の機会での比較的リラックスした振る舞いでも知られる。

北朝鮮指導部の動向を伝えるブログ「ノース・コリア・リーダーシップ・ウォッチ」によると、崔氏が初めて就いた要職は、1980年代半ばに就任した「血の海歌劇団」のマネージャーだった。

崔氏はそのキャリアのほとんどを北朝鮮の芸術部門で過ごしてきた。北朝鮮の女性のみで構成される牡丹峰楽団の結成にも携わったと考えられている。

平昌冬季五輪での南北関係改善への重要な役割や、最近進んでいる両国間の文化交流も、崔氏の重要性を説明している。

金英哲(キム・ヨンチョル)――手ごわい交渉人

代表団に含まれ得る中でも物議を醸す存在の1人が金英哲(キム・ヨンチョル)氏だ。北朝鮮の軍諜報機関トップを勤めた経歴があり、2010年に起きた韓国の哨戒艇「天安」の沈没事件や延坪島砲撃事件を計画したと告発されている。

軍で大将を務めたこともある金英哲氏は、一緒に仕事をするのが難しく、皮肉屋だという評判を持つと、ノース・コリア・リーダーシップ・ウォッチは報じている。

2007年に行われた2度目の南北首脳会談では、韓国からされた提案の1つを、「あなたは提案書を詰め込んだもう1つのかばんがあるのではないか」と述べ、拒否したと伝えられている。

李洙墉(リ・スヨン)――外交官で金委員長の「父親的存在」

かつて李徹(リ・チョル)の通名でも知られた李洙墉(リ・スヨン)氏は、金委員長の家系と古くからのつながりを持つ。金委員長の父親である金正日(キム・ジョンイル)氏の学友で、スイスで1990年代に学生時代を過ごしたとされる金正恩氏を含む金正日氏の子供たちの保護者にもなった。

ノース・コリア・リーダーシップ・ウォッチのマイケル・マッデンは李洙墉氏を金委員長の「父親的存在」と呼んでいる。

李洙墉氏は北朝鮮を代表して広く世界を訪問し、外相の役割の影響力が増した2014年に同職に就任した。現在は北朝鮮の外交を統括する最高人民会議外交委員会委員長を務めており、他国の外交官とよく交流している。

ノース・コリア・リーダーシップ・ウォッチによると、李洙墉氏は国連の外交官からも尊敬されており、交渉可能な人物だと考えられているという。

李明秀(リミョンス)――金委員長の家庭教師も務めた軍人

李明秀(リ・ミョンス)氏は2016年に朝鮮人民軍総参謀長に就任した。同氏の前任者として金正恩氏の下で総参謀長を務めた人物のうち、2人は処刑され、1人は追放されたと考えられている。

李明秀氏は1980年代には、朝鮮戦争での軍役経験者として、軍の主要な戦略官だったとみられている。

ノース・コリア・リーダーシップ・ウォッチによると、李明秀氏は金委員長が金正日氏の後継者として教育され始めた頃に家庭教師を務めたという。

同氏は金正日氏の死後数年間は姿を現さなかったが、今や指導者層の前線かつ中心に立っている。

朴永植(パク・ヨンシク)――防衛

朴永植(パク・ヨンシク)氏は北朝鮮の軍政を主管する人民武力省の大臣を2015年から務めている。人民武力省は北朝鮮軍の管理や兵站(へいたん)を司っており、外国軍への外交的対応も担当している。

朴氏は軍の再編成や2016年に北朝鮮を襲った洪水による災害からの復興作戦も監督した。

李容浩(リ・ヨンホ)――辛口な外務大臣

経験豊富な外交官、李容浩(リ・ヨンホ)氏は北朝鮮の核開発問題に関する首席交渉官を長年務めてきた。英国を含む複数国での大使職の経験もある。

李容浩氏は2016年に昇格の形で外相に任命され、辛口の評判を確立してきた。昨年には米国の北朝鮮に対する「戦争宣言」を非難し、北朝鮮に対するトランプ大統領の脅威を「犬の吠える音」との比ゆで表現した。

李容浩氏はツイッターも使用している

李善権リ・ソン)――オリンピックの男

李善権(リ・ソンゴン)氏は、韓国との関係を監督する部署のトップである祖国平和統一委員会委員長という立場から、平昌冬季五輪中に行われた南北閣僚級会談では首席代表として対話を主導する存在となった。

同氏は2016年までは軍の上級大佐を務めていた。

李善権氏は韓国の軍事演習に対し警告を発したり、2010年の韓国哨戒艇沈没事件への北朝鮮政府の関与を否定し、韓国政治家を中傷したこともある。

(英語記事 North and South Korea summit: The people Kim trusts the most

提供元:https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-43917343

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