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2018年5月4日

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ナタリーシャーマン、ビジネス担当記者、ニューヨーク

米ミシガン州デトロイトの検察は3日、独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)のマルティン・ヴィンターコーン元社長(70)を起訴した。同社が米国の排ガス規制を回避する不正なシステムを搭載したディーゼル車を販売していた問題について、規制当局をだまそうとしていた疑いが持たれている。

検察当局が3月に提出した訴状の内容が、3日に明らかになった。ヴィンターコーン元社長は、ほかのVW元幹部5人と共に起訴されている。

ジェフ・セッションズ米司法長官は起訴を受けて、VWの排ガス不正活動が「一番上にまで達していた」ことを示すものだと話した。

排ガス不正問題のため米国で起訴されたVW関係者は、ヴィンターコーン元社長で9人目。うち2人は有罪判決を受け、禁錮刑で服役している。

VWは2017年3月、ディーゼル車の排ガス制御システムにソフトウエア不正装置を取り付け、米環境保護庁(EPA)やカリフォルニア州大気資源局(CARB)などの米当局を欺いていたことを認めた。

この装置は排ガス検査を受ける際に数値を意図的に下げるもので、米国では2009~2015年に600万台に搭載されていたほか、全世界で数百万台に同様の措置を行っていた。

不正は米ウエスト・バージニア大学の研究員による排ガス研究で明らかになり、本国ドイツをはじめ各国で捜査に発展した。

米検察当局は、ヴィンターコーン氏は2014年5月には不正について報告を受けていたと指摘している。また、「不調」などを理由に規制当局を欺くと決めた2015年7月の経営陣会議にも、元社長が出席していたという。

VWは2016年の時点で、ソフトウエア変更が米国で法律違反にあたると会議出席者は理解していなかったと説明している。

同社は今回、「フォルクスワーゲンは、個人の行動に関する司法省の捜査に引き続き協力していく。個別の案件についてはコメントするのは適切ではない」と発表した。

ヴィンターコーン氏は2007年に最高経営責任者(CEO)に就任。排ガス不正問題が発覚した直後の2015年9月に引責辞任した。

同氏は、問題発覚の直前まで、問題について承知していなかったと述べている。

一方でドイツの検察当局も、ヴィンターコーン氏がそれよりも早い段階で問題を知っていた可能性があると指摘している。


分析> ジョー・ミラーBBCビジネス編集委員、ニューヨーク

300億ドル(3兆2000億円)以上の罰金とディーゼル車の買い戻し、そして中堅幹部数人の起訴を経てなお、VWのトップ幹部は起訴を逃れてきたかのように思えた。

マルティン・ヴィンターコーン氏は、世界最大の自動車会社が100万台以上の車に違法ソフトウエアを搭載していた期間に、そのトップを務めていた。元社長は常に、この違法行為を知ってただちに当局に報告したと主張していた。

外国企業のトップを起訴するという前例のない案件に対しミシガン州の大陪審は、ヴィンターコーン氏がVW車の排ガスレベルについて「当局と公衆に対し虚偽の報告を」行ったと述べた。

同氏は独シュツットガルトでも、訴えられている。VWへの投資家たちは、ヴィンターコーン氏が1年以上にわたりこの問題を放っておいたことで、VWの市場価値が数十億ドルも下がったと主張している。

しかしドイツ政府が、国民の身柄を他国に引き渡すことはない。このため、たとえ米国で有罪となっても、米国の法廷の内側、ましてや刑務所の内側をヴィンターコーン氏が目にする事態は、ほとんどあり得ない。


(英語記事 Ex-VW boss charged over diesel scandal

提供元:https://www.bbc.com/japanese/43999457

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