使えない上司・使えない部下

2018年5月8日

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吉田典史 (よしだ・のりふみ)

ジャーナリスト・記者・ライター

ジャーナリスト。1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年から、フリー。
主に、人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。『悶える職場』(光文社)、
震災死』『あの日、「負け組社員」になった…―他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)『封印された震災死』(世界文化社)など。

特別扱いを求めている人はいない

下風課長

 その人がどのようなことが得意で、どういう仕事ができるか否かに目を向けるべきだ、と私は考えています。障がい者手帳をもっているか否か、ではないのではないでしょうか。この認識が十分に浸透していないと、「障がい者手帳をもっているから…」という情報だけが共有され、特別扱いをするようになっていきがちです。「かわいそう…」といったまなざしで見る人もいるかもしれません。なぜ、そのように決めつけるのか、私にはわからないのです。その人の能力や経験、スキルなどに着眼すると、実はほかの社員よりも優れた面があるのです。

 逆にいえば、障がい者手帳をお持ちであろうと当社で働く以上、可能な限り、仕事をきちんとしていただきたいと考えています。それだけの力も経験もお持ちの方を採用するわけですから…。少なくとも、実際に当社で勤務されている方を見ていると、特別な扱いを受けることを求めている人はいらっしゃらないように感じます。

 私は、障がい者手帳は免罪符になるとは考えていないのです。当社では、遅刻をしたらその理由を確認します。障がい特性に起因する問題でないのならば、必ず注意指導をします。「あの人は障がいがあるから、仕方がない…」と妥協してしまうのは、ご本人に失礼だと思います。結果的には上司や周囲の社員にも負担がかかり、職場が疲弊してしまいます。障がい者手帳を免罪符にしてしまうと、誰も幸福にはならないのです。

 私がこんなことが言えるのは、障がい者の方を積極的に受け入れてくれる各店舗の社員がいるからです。当社もまた、人手が足りなくなりつつあります。現場では、受け入れる余裕がない中でも自発的に受け入れてくれる店舗がたくさんあります。ただし、現場で「今は難しい」といった声があるときには無理に採用を進めるようなことはしません。

 実は私は、社会保障や福祉を勉強したことがありません。人事マンとして、ちょっと変わったところがあるのかもしれませんね。自分のためにがんばろう…と思っても突っ走ることができないのです。むしろ、応援してくれたり、協力してくださる人のために…と思うと自然と行動することができるように感じます。

 「使えない」という言葉は違和感がありますね。上司が「俺の部下は使えない」と言っているならば、その方のマネジメントにも何らかの問題があるように感じます。厳しい見方かもしれませんが、その方こそ、使えない人なのではないのでしょうか。

  
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