田部康喜のTV読本

2018年5月9日

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田部康喜 (たべ・こうき)

東日本国際大学客員教授

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

 カンテレ制作・フジテレビ系放送の「シグナル 長期未解決事件捜査班」(毎週火曜夜9時)は、2018年に生きる警部補・三枝健人(坂口健太郎)と1997年の刑事・大山剛志(北村一輝)が、過去と現在を結ぶ不可思議な無線機によって交信しながら、未解決事件に挑む。

(iStock/zhudifeng)

 ふたりの刑事が時空を超えてつながるという意味では、新たなタイムトラベル・ストーリーである。三枝のいる世界とは別に大山の世界がある。ふたつの世界が並行しているという意味では、パラレルワールド・ストーリーである。ふたりがつながる時刻は「23:23」である。

未解決事件にひそむ人間の業と情念

 韓国のテレビドラマをリメークした、脚本家の尾崎将也のストーリーは過去と現在の場面をテンポよく展開しながら、未解決事件にひそむ人間の業(ごう)と情念が観る者の心を揺さぶる。今期の刑事ドラマの最高傑作である。

 未解決事件捜査班の班長・桜井美咲には、美貌の吉瀬美智子(きちせ・みちこ)が、その部下・山田勉には木村祐一、同僚で鑑識官には池田鉄洋が起用された。三枝(坂口)はこの班に所属するプロファイラーである。

 第4話(5月1日)は、未解決事件捜査班が1997年に起きた城西地区連続女性殺人事件の捜査を再開し、当時の関係者であるバス会社の事務員・八代英子の自宅を、三枝(坂口)と桜井(吉瀬)が訪れると、八代の死体を発見する。両手は後ろ手に、足首も特徴のある縛り方である。それは、1997年の事件の被害者と同じだった。

 三枝(坂口)は3年前、警察署から不用品を運び出すトラックの荷台のなかで受信音を発している、無線機を手に入れた。大山(北村)とつながることによって、このシリーズの第1の事件である少女誘拐事件を解決していた。第2の事件である連続女性殺人事件を未然に防ごうと、三枝は大山に6人目の事件が発生する日時と場所を教えた。現場にかけつけた大山は殺人を防ぎ、未遂に終わらせる。犯人を追いかけたが、バス停のそばで見失う。

 連続殺人事件の最後となった8人目の犠牲者となる、ラーメン店の店員・北野みどり(佐久間由井)についても、三枝は大山に情報を入れた。しかし、事件を防ぐことはできなかった。

 みどりは薬物依存症だったが、大山が目をかけて立ち直って資格試験をとる夢を追いかけていた。誕生日に髪留めを贈り、みどりは大山にお返しをする、とほほ笑えんでいた。

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