オトナの教養 週末の一冊

2018年5月11日

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本多カツヒロ (ほんだ・かつひろ)

ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

――そうなると、今後日中、米中関係はどうなっていくのでしょうか?

阿南:どうなるかは、日米欧、特に日米の対中政策次第だと思います。中国がこれだけ経済的に発展できたのは、日米欧からの借款、技術支援、投資に負う所が大きい。中国は勝手に「台頭した」と言うより、日米欧が「台頭させた」と言った方が実態に即しています。日米欧の対中政策は、中国を既存のグローバル経済システムに組み込めば、中国はそのシステムに適応するために自国の政治体制を徐々に自由で民主的なものに変えていかざるをえないだろうという見通しに基づいていました。そうなれば、安全保障面での対立も緩和され、中国と日米欧は、平和と繁栄を享受できるはずでした。

 ところが、中国共産党政権は、前述した理由から経済発展と並行して巨額の金を解放軍に注ぎ込んで共産党の一党支配体制を補強するとともに、自由化・民主化を求める国内の運動に対する弾圧を強め、今では「中国の政治体制が国際システムに合わせて変化すべきなのではなく、国際社会が中国の政治体制に合わせて変化すべきだ」と主張するようになっています。日米に関していえば、中国との安全保障面での緊張も拡大傾向にあります。

 こうした事態に日米欧はどう対応するのか。現時点ではまだその全体像はハッキリしていませんが、日米欧が下す決断が今後の中国、そして国際社会の将来を大きく左右することになるでしょう。

――最後に、本書をどんな人たちにお薦めしますか?

阿南:本書を執筆した際、大学での学生とのやり取りや大学外で講演をさせていただいた際の質疑応答を念頭におきながら議論を組み立てました。これまで多くの方から経済的相互依存関係にある日中の間でなぜ軍事的緊張が高まっているのかという主旨の御質問をいただきました。本書では、その問いに対して1つの答えを提示致しましたので、現在の日中関係について同様の疑問を抱いている方々にぜひ読んでいただきたいと思っています。
 

  
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