イノベーションの風を読む

2018年5月16日

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川手恭輔 (かわて・きょうすけ)

コンセプトデザイン・サイエンティスト

1990年代から、大手メーカーでインターネットサービスの企画・開発・運用を手がけ、自ら立案したグローバルなサービスを複数立ち上げた経験を持つ。その1つは、サービスのデザインでグッドデザイン賞を受賞した。コンピューターサイエンス関連の翻訳本も多数ある。

 自動車や家電など、他のコンシューマー向けのハードウェア製品も、サービスと一体化することによって新しい価値を生み出すことができるはずだ。冷蔵庫や電子レンジ、そして、もちろんテレビやデジタルカメラにも大きな可能性が残されている。

ソフトウェアの力

 「ハードウェア製品が扱うコンテンツや関連するデータの流れを変える新しいサービス」をつくるために必要な想像力と創造力、すなわちソフトウェアの力を発揮できる組織は、残念ながらメーカーには存在しないと断言できる。そもそもメーカーは、そのような力を求めてはいない。

 革新的なサービスの多くは、ソフトウェアの力があるスタートアップによって生み出されている。不確実な未来への挑戦の成否は、タイミングや運に大きく左右される。スタートアップは、世界を変えるというモチベーションと数の力で、それを乗り越える。

 メーカーは、スタートアップのコミュニティに積極的に参加してスタートアップに投資し、「ハードウェア製品が扱うコンテンツや関連するデータの流れを変える新しいサービス」をつくろうとするスタートアップを探し出さなければならない。あるいは、そのようなテーマを投げかけることが必要かもしれない。そして、有望なサービスの成長を支援し、自社のハードウェアを最適化し一体化させる。

 ハードウェアはスタートアップにとってハードだ。体力があり、サプライチェーンなどの、ものづくりの力と専門性を有するメーカーがハードウェアを担当する。WF-1000XにeSIMを組み込み、Spotifyの音楽ストリーミングを受信し再生できるようにする。ユーザーの好みの音楽を配信するための仕組みなど、ハードウェアとサービスの一体化を、妥協せずに徹底的に追求する。それは、他社に対する大きなアドバンテージになる。

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