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2018年5月24日

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米ニューヨークの連邦地裁は23日、ドナルド・トランプ米大統領がツイッターで利用者の政治信条を理由にブロックするのは、言論の自由の侵害にあたり違憲だと判断を示した。

トランプ氏をはじめ複数の政府高官がツイッターで、自分たちを批判する人に対してブロック機能を使い、自分たちのアカウントが見られないようにしていることについて、コロンビア大学ナイト修正第1条研究所が、連邦地裁に提訴していた。米国で言論の自由を保障する憲法修正第1条を扱うナイト研究所は、トランプ氏を批判したりからかったりしたツイッター利用者7人を代表して、訴えを起こしていた。

ナオミ・ライス・ブックワルド裁判長は、大統領が自分のツイッターアカウント「@realDonaldTrump」について、特定の人の政治信条を理由に見られないようにすることは、相手の言論の自由を侵害する行為だと判断を示し、禁止した。

ホワイトハウスはまだ判決についてコメントしていない。

ブックワルド裁判長は、ソーシャルメディア・プラットフォームのツイッターは、米国の全市民に与えられた「特定の公共の表現の場」だという原告の主張に同意した。「特定の公共の表現の場(a designated public forum)」とは、修正第1条が保障する言論の自由を行使する場として、連邦政府が確保すべきものと連邦最高裁は規定している。

裁判長は判決理由で、「本件で我々は、公務員が修正第1条を遵守しながら、他人が表現した政治信条を理由にその人をツイッター・アカウントから『ブロック』しても良いのかどうか、検討を求められた。また、その公務員が合衆国大統領の場合、この分析結果は異なるのかどうかも検討を求められた」と書いた。

「両方の答えは『いいえ』だ」

ブックワルド判事は、「本件に修正第1条は適応されず、大統領の修正第1条の上の利益は原告の利益に勝る」という、トランプ氏の弁護団の主張を退けた。

トランプ氏は2009年3月に、ツイッターに加入した。大統領選を機にフォロワー数は急増し、現在は5200万以上のアカウントがフォローしている。

大統領就任後もトランプ氏は、大統領公式アカウント「@POTUS」やホワイトハウス報道部ではなく、自分の個人アカウントから重大政策決定などを発表している。

トランプ氏にブロックされたホリー・オライリー氏のアカウントは「@AynRandPaulRyan」。トランプ氏がローマ法王と面会した際のGIFアニメを昨年5月、投稿したところ、ブロックされた。画像のフランシスコ1世の表情は、トランプ氏をにらみつけているように見えると言われたもので、オライリー氏は「世界のほとんどが、あなたをこうやって見てる」とコメントをつけて投稿した。

ブロックされて間もなく、オライリー氏は米誌タイムに、「FDRが私のラジオを取り上げたみたいなこと」と話した。「FDR」は、フランクリン・デラノ・ルーズベルト大統領の頭文字。第2次世界大戦中に米国を率いたルーズベルト大統領は、「暖炉前のおしゃべり」と呼ばれたラジオ放送で国民に直接語りかけることで知られていた。

ブックワルド裁判長は判決前、欠席のトランプ氏は見たくないアカウントはブロックではなく「ミュート」(相手は自分のアカウントを見てコメントもできるが、相手のコメントは自分のアカウントに表示されない機能)を使えば済むはずだと話していた。

この判決を受けてトランプ氏が、自分を批判するアカウントのブロックを解除するかどうかは不明だが、判事はもし大統領が判決に従わないなら、法的措置の対象になり得ると示唆した。

ブックワルド裁判長は、「何が法律かと司法が断定した場合、全ての政府職員はその判断に従うものとされている。そのため、大統領によるブロックは違憲だと我々が判断した以上、大統領(およびソーシャルメディア担当)はブロック状態を改善するものと認識している」と判決に書いた。


<解説> トランプ氏の安全な空間――デイブ・リー、BBC北米テクノロジー担当記者(サンフランシスコ)

ツイッターに関して言えば、合衆国憲法の修正第1条は米国民に、大統領について発言する権利を認めている。しかし、大統領に強制的に耳を傾けさせるようなことはしない。

連邦地裁は、大統領が他人をブロックするのは違憲だと認定した。しかし、他人をミュートするのは違憲ではないという。つまり、大統領とそのソーシャルメディア・チームが醸成してきた安全な空間は、今後もだいたい安泰だ。私がこれを書いている現在、トランプ氏はたった46人しかフォローしていない。ほとんどが家族と、フォックス・ニュースの司会者だ。

トランプ氏にブロックされた大勢にとって、大統領からのブロックは名誉の勲章になりつつある。「#blockedbytrump(トランプにブロックされた)」ハッシュタグで祝うのだ。

しかし、トランプ氏はツイートによって国民に情報を伝える。これは大統領の情報伝達手段として、重要なものだ。この米政権をいずれ歴史がどう振り返るにせよ、大統領のツイートは歴史的記録の重大な一部を占める。

中には、ブロックされた人は単にログアウトしてトランプ氏のアカウントを見ればいいではないかという意見もあるが、それではアカウントの全てを見ることは必ずしもできない。たとえば、23日のツイートのひとつは他人への「返信」だったため、ログアウトしている人はこれを見ることができないかった。

ブロックされた人はさらに、トランプ氏に返信したり、トランプ氏のツイートを引用してコメントすることができない。

しかし今回の判決で何より重要なのは、これが米国の公務員全員に適用されるということだ。

なので、トランプ氏以外の米政府関係者も、疎ましいと思う相手のブロックを解除していくことになる。

(英語記事 Trump barred from blocking Twitter users by judge

提供元:https://www.bbc.com/japanese/44234656

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