世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年6月7日

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 2018年5月23日、ポンペオ長官が国務長官に就任してから、初めての米中外相会談がワシントンで開催された。王毅外相にとっては、アルゼンチンでのG20外相会議を済ませての帰途の立ち寄りだった。

 米中外相会談を終えたポンペオ長官と王外相は、共同の記者会見に臨んだ。そこで質疑応答が行われた主要点を以下に紹介する。

(iStock.com/bazzier/ Ingram Publishing)

(1) 南シナ海問題

 ポンペオ長官は、南シナ海における中国の軍事化に懸念を表明したが、王外相は、中国は自国の領土を防衛するためのもので、米国がハワイやグアムでやっている規模よりはずっと小さいと述べた。

 南シナ海では、中国は、ベトナムやフィリピン等と領有権争いがあり、仲裁裁判所は中国の主張を認めない判決を出したにもかかわらず、それには一切触れず、自国の主張を一方的に正当化して語っていた。ハワイやグアムを引き合いに出しているのは、米国へのライバル意識が見え隠れする。

(2)台湾問題

 この問題は、中国のテレビ局CCTVから提起された。米国の最近の台湾への態度は、中国国民をがっかりさせたが、米国の「一つの中国」政策は変わったのかとの質問に対し、ポンペオ国務長官は、簡単に「変更ない。」とのみ答えた。一方、王外相は、CCTVに呼応するかのように、台湾問題は、中国人民が懸念している事項であると述べ、米国が「1つの中国」原則を変えないことを望むと念を押した。

(3)RIMPACへの中国の不参加

 ここ数年、RIMPACの共同軍事演習に中国も参加していたが、今年は、南シナ海問題等があり、米国は中国を招待しないことにした。この件に関する記者の質問に対して、ポンペオ国務長官は、これは国防総省が答えるべきことであるとした。一方、王外相は、これは非建設的決断であり、米中両国の軍人同士の交流は、平和と安定のためにも必要であると述べた。すなわち、中国としては、RIMPACに参加したかったようだ。

 しかし、上記の南シナ海問題への中国の応答ぶりからも、中国は米国に対するライバル意識が高い。その上、知的所有権問題では中国は米国の企業の先端技術を、そのまま盗んでしまうことがある。最近、米国議会では中国が米国の安全保障に関わる企業の買収等を行うことに、警戒心が高まっている。

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