2024年4月20日(土)

使えない上司・使えない部下

2018年6月1日

Q. 事業愛はないかもしれないが、売る時点までは人を採用し、賃金を払う。税金を納める。国や社会にも、多大な貢献をしていますね。

(CreativaImages/iStock)

 その通りですよ。バイアウトに何ら問題はないでしょう。ただね、違うんですね。メガベンチャーの社長の〇〇さんや〇〇さん、〇〇さん、〇〇さんたちとは…。メガのトップたちは、(前述の)〇〇さんたちとは一線を画して、今や実業家であり、本当の経営者だから。私の前職のメガベンチャーのキング(会長のこと)は(前述の)〇〇さんのことを側近たちによくは言っていなかった。考え方に問題がある、ってね。

 結局、〇〇さんや〇〇さん、〇〇さん、〇〇さんたちやキングは進んでいく方向やそのプロセスに大きな間違いがないんですよ。バイアウトしまくりの経営者たちとも深い関係をつくらない。一線を画し、俺たちは本格派の大企業をつくろう、と考えているんでしょう。社会の公器になろうとしているんですよ。その信念や姿勢が伝播するからこそ、学生からもほかの会社からも絶大な人気があるのだと思う。本物って、伝わるから。本物じゃないものは、距離が近い人にしか伝わらない。どこかで力が尽きるんですよ。

 本物かどうかは、世間は判断する。そのことを、事業愛がない創業経営者たちは理屈ではわかっていても、実際はわかっていないんだろうね。(一部の)経済雑誌やビジネス雑誌、ビジネス系のニュースサイトなどが、この違いを見抜けていない。だから、ベンチャーを「新時代の騎手」的に報じる。その報道が本物ではないから、伝播力がない。売れない理由って、そのあたりにある。

 15~20年前は、〇〇さんや〇〇さん、〇〇さん、〇〇さんたちやキングの会社も、もしかするとブラックな部分があったかもしれない。それがグレーになり、ホワイトになった今、最高だろうね。長いレンジで見ると、本物って残るんですよ。

 なんちゃってベンチャーの、疲れちゃって、バイアウトした会社が悪いなんて思わないよ。このような会社のミドル層って、結構、優秀な人がいる。上に事業愛がないのが並んでいるから、事業がまともにならない。そんな中で現場を支え、実績を残してきたんだから。メガベンチャーや一流大企業のミドル層以上の力を持っている場合がある。この人たちは、部下を育成する力が半端じゃない。部下からすると、それこそ、「使える上司」だろうね。不器用だけど、仕事はできるってタイプ。バイアウトをする会社も、実はごく一部の社員への愛があったのかな…(笑)。

  
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