From NY

2018年5月31日

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田村明子 (たむら・あきこ)

ジャーナリスト

盛岡市生まれ。1977年米国に単身留学し、1980年から現在までニューヨーク在住。著書に『ニューヨーカーに学ぶ軽く見られない英語』(朝日新書)、『知的な英語、好かれる英語』(生活人新書)、『女を上げる英会話』(青春出版社)、『聞き上手の英会話』(KADOKAWA/中経出版)など。翻訳書も多数。フィギュアスケートライターとしても知られており、『銀盤の軌跡』(新潮社)などの著書もある。

 一方振付師のジェローム・ロビンスは、マンハッタンのローアーイーストサイドのユダヤ移民が多い区域で生まれた、生粋のニューヨーカーである。

 ダンサーとして活動しながら、1944年にバレエ作品「ファンシーフリー」を振付。バーンスタインの音楽を使用したこの作品が、公開されてすぐに大評判となり、振付師として注目を浴びるようになった。ニューヨークに24時間上陸を許された水夫たちがロマンスを探すというコメディタッチのこの作品は、後に映画化もされたミュージカル「オン・ザ・タウン」(邦題「踊る紐育」)の原型となった。

 ロビンスはその後、1949年にニューヨークシティバレエの芸術助監督に就任し、創設者で芸術監督のジョージ・バランシンと共にこのカンパニーの基盤を築き上げた。クラシックバレエのほかに、ミュージカルなどの振付も手がけて多彩な作品を数多く生み出してきた。

 ミュージカル「王様と私」「屋根の上のバイオリン弾き」などもオリジナルの振付はロビンスが手がけて、トニー賞を受賞。ニューヨークシティバレエにも、多くの作品を残してきた。今シーズンのニューヨークシティバレエの公演は、5月3日から20日までの2週間半を、「オール・ロビンス」と銘打って彼の振付した作品のみを上演してきた。

類似点の多いバーンスタインとロビンス

 このバーンスタインとロビンスには、面白いほど類似点があった。どちらも1918年生まれで、誕生日がわずか2カ月ほどしか離れていないこと。

 2人とも、ユダヤ人の血を引く家庭に生まれていること。(「ウエストサイドストーリー」も、元々のアイディアはユダヤ人とカトリック教徒の若者の対立と葛藤を想定していたが、うまくまとまらずに現在の形になったという)どちらも生涯の大部分をニューヨークで過ごして、ニューヨークで没したこと。

 さらにはどちらもそれぞれの専門分野では型にはまることなく、圧巻のカリスマ性があったこと。

 そして2人とも、ゲイであったことで知られている。バーンスタインは一度結婚して子供ももうけているが、後にゲイであることを告白している。

 ロビンスは俳優モンテゴメリー・クリフトなど、恋人と噂された相手は数人いたものの、生涯独身で通した。

 同性婚が認められた現代に生まれていたなら、また違った生き方を選択することもできたかもしれない。あらゆる意味で、とてもニューヨーカーらしい2人の芸術家だった。

  
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